• HOME
  •  › ブログ
  •  › とりあえず期限内申告する
2016.08.18

とりあえず期限内申告する

※2015年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士・会計事務所がたまに持つ悩みとして、
顧問先ではない法人等から「申告期限までに時間がない
依頼が来たんだけどどうしよう?」というものがあります。

こういうところに限って、まったく記帳もされていなく、
期限までに時間がないことから頭を抱えてしまう・・・
誰しもがこういう経験をしたことがあることでしょう。

私はこういう話を聞くと、とりあえず
「概算であっても申告してしまえば」と答えています。

さて、まず真面目に記帳から始めて、申告期限に
間に合わなかった場合のデメリットを挙げましょう。

・無申告加算税

期限後申告にかかる無申告加算税が課される。
(自主申告での免除規定あり)

期限後申告はその後調査があって修正申告になった場合、
10%ではなく、15%の加算税になってしまいます。

・期限内申告の特典が受けられない

個人の青色特別控除65万円のように、
期限内申告でなければ受けられない特典がなくなる。

・青色の取消の可能性がある

法人の場合、2期連続で期限後申告になると
青色申告が取り消されることもあります。

申告期限が迫っていて正確な所得・税額が計算できない
場合は、このような期限後申告のデメリットを
回避するために、【とりあえず概算であっても】
申告してしまうことです。

期限内申告さえしてしまえば、後日正確な計算をしてから
修正申告・更正の請求をすればいいのです。
これで上記のデメリットを回避することができます。

なお、法人税法上の「確定申告書」とは、法定様式に
法人税法第74条の内容が記載されてものを指しますので、
一表さえ提出すれば、一応は申告書提出となります。

法人税法第74条(確定申告)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、
税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を
記載した申告書を提出しなければならない。
一  当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二  前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)
の規定を適用して計算した法人税の額
三  第68条及び第69条(所得税額等の控除)の
規定による控除をされるべき金額で前号に掲げる法人税
の額の計算上控除しきれなかつたものがある場合には、
その控除しきれなかつた金額
四  その内国法人が当該事業年度につき中間申告書を
提出した法人である場合には、第二号に掲げる法人税の額
から当該申告書に係る中間納付額を控除した金額
五  前号に規定する中間納付額で同号に掲げる金額の
計算上控除しきれなかつたものがある場合には、
その控除しきれなかつた金額
六  前各号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

とりあえずの期限内申告をする場合、いくつか注意点があります。

・延滞税は免れられない

その後修正申告を早くすれば発生しないケースが多いですが、
延滞税は課されますので注意してください。

これさえもクリアにするためには、多めの税額で申告して、
更正の請求をする、ということもあり得ます。

・当初申告要件

当初申告要件がある場合は、当初申告に載せていなければ
修正申告・更正の請求で後から適用できない
規定もありますので、この点は十分に注意してください。

またよく聞かれることですが、当初申告で適当な
金額で出して、後日修正等をすると
「税務調査に入られやすくなりますか?」
という点ですが・・・それはありません。

税務署にいると、期限内申告をとりあえず提出して、
その後すぐに修正する申告書は多数見ています。
いわば、調査官も慣れている部分となります。

とりあえずの期限内申告で、税務調査に
入られやすくなることはないです。

調査での修正申告で、加算税が10%ではなく
15%になるのは相当な差が出ます
調査選定は気にせず期限内申告をしましょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。