とりあえず期限内申告する
※2015年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士・会計事務所がたまに持つ悩みとして、
顧問先ではない法人等から「申告期限までに時間がない
依頼が来たんだけどどうしよう?」というものがあります。
こういうところに限って、まったく記帳もされていなく、
期限までに時間がないことから頭を抱えてしまう・・・
誰しもがこういう経験をしたことがあることでしょう。
私はこういう話を聞くと、とりあえず
「概算であっても申告してしまえば」と答えています。
さて、まず真面目に記帳から始めて、申告期限に
間に合わなかった場合のデメリットを挙げましょう。
・無申告加算税
期限後申告にかかる無申告加算税が課される。
(自主申告での免除規定あり)
期限後申告はその後調査があって修正申告になった場合、
10%ではなく、15%の加算税になってしまいます。
・期限内申告の特典が受けられない
個人の青色特別控除65万円のように、
期限内申告でなければ受けられない特典がなくなる。
・青色の取消の可能性がある
法人の場合、2期連続で期限後申告になると
青色申告が取り消されることもあります。
申告期限が迫っていて正確な所得・税額が計算できない
場合は、このような期限後申告のデメリットを
回避するために、【とりあえず概算であっても】
申告してしまうことです。
期限内申告さえしてしまえば、後日正確な計算をしてから
修正申告・更正の請求をすればいいのです。
これで上記のデメリットを回避することができます。
なお、法人税法上の「確定申告書」とは、法定様式に
法人税法第74条の内容が記載されてものを指しますので、
一表さえ提出すれば、一応は申告書提出となります。
法人税法第74条(確定申告)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、
税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を
記載した申告書を提出しなければならない。
一 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二 前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)
の規定を適用して計算した法人税の額
三 第68条及び第69条(所得税額等の控除)の
規定による控除をされるべき金額で前号に掲げる法人税
の額の計算上控除しきれなかつたものがある場合には、
その控除しきれなかつた金額
四 その内国法人が当該事業年度につき中間申告書を
提出した法人である場合には、第二号に掲げる法人税の額
から当該申告書に係る中間納付額を控除した金額
五 前号に規定する中間納付額で同号に掲げる金額の
計算上控除しきれなかつたものがある場合には、
その控除しきれなかつた金額
六 前各号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項
とりあえずの期限内申告をする場合、いくつか注意点があります。
・延滞税は免れられない
その後修正申告を早くすれば発生しないケースが多いですが、
延滞税は課されますので注意してください。
これさえもクリアにするためには、多めの税額で申告して、
更正の請求をする、ということもあり得ます。
・当初申告要件
当初申告要件がある場合は、当初申告に載せていなければ
修正申告・更正の請求で後から適用できない
規定もありますので、この点は十分に注意してください。
またよく聞かれることですが、当初申告で適当な
金額で出して、後日修正等をすると
「税務調査に入られやすくなりますか?」
という点ですが・・・それはありません。
税務署にいると、期限内申告をとりあえず提出して、
その後すぐに修正する申告書は多数見ています。
いわば、調査官も慣れている部分となります。
とりあえずの期限内申告で、税務調査に
入られやすくなることはないです。
調査での修正申告で、加算税が10%ではなく
15%になるのは相当な差が出ます
調査選定は気にせず期限内申告をしましょう。
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