なぜ税理士が同意書を提出する必要があるのか?
※2015年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
「調査の終了の際の手続に関する同意書」という書面をご存知でしょうか?
http://kachiel.jp/sharefile/inspire/20130628142952_54020.pdf
※上記URLは私が書面(ひな形)アップしたもので、
日税連のサイトからダウンロードすることが可能です
書面を知らない方は、ぜひ知っておいてください。
書面の存在を知っている方は、なぜ(何を根拠に)この書面を
税理士が提出しなければならないのか知ってください。
まず、法律規定から確認です。
国税通則法第74条の11第5項
実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について
第74条の9第3項第2号に規定する税務代理人がある
場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、
当該納税義務者への第1項から第3項までに規定する通知等
に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。
この条文にある「第1項から第3項」とは、
申告是認の通知・更正の説明・修正申告の勧奨です。
この条文では、税務調査終了時における説明・通知等を
誰に対してすべきか定めたもので、
「納税義務者の同意がある場合には」税理士に
調査終了の処理に関して説明・通知できるとされています。
裏を返せば、納税者の(明確な)同意がなければ代理権限を
持っている税理士であっても、調査終了の際だけは納税者の
代わりに説明・通知を受けることができないというわけです。
ただしここで注意が必要なのは、条文上「同意がある場合」
とされているのみで、書面が必要とは書かれていません。
私が運営している習得会(全国で約450名の税理士が
参加するメーリングリスト)で、この書面の提出状況を
質問してみたところ、地域差も調査官の対応差もありました。
つまり、毎回税理士に書面の提出を求められることもあれば、
求められたことがない税理士もいたわけです。
ここで、東京国税局の現職調査官数人に聞いてみました。
「税務署内でこの書面は徹底されているのか?」と。
国税内の周知事項としては2つの方法があり、
①上記書面を税理士に提出してもらう
②納税者が明確に口頭で同意した場合は、
その旨を「調査経過書」に明記しておく
のどちらでも対応しているとのことでした。
(「調査経過書」とは、調査官が調査内容を
記録・保存しておく書面の一部です)
調査官としては口頭がリスク(言った言わないの問題)
と感じれば、税理士に書面を求める、ということでしょう。
もちろん、税理士が調査終了時の説明・通知を受けない
のであれば、このような同意は不要なのですが・・・
調査官に書面を求められた場合、面倒であっても
納税者の同意を明確にするものだと考え、また
調査手続きが厳格化されていることを考慮して、
素直に提出しておくのが、無難な対応方法でしょう。
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