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2014.11.14

なぜ退職金がこの金額なのか?

今回は、『役員退職金』がテーマです。

役員退職給与に関して、税務調査でのトラブルが絶えないものです。

調査官としては、退職金を否認できれば
それだけで増差所得が多額になるのですから、
狙ってくるのも当然と言えば当然でしょう。

役員退職給与の基準は非常に曖昧なことが問題です。

形式基準さえ満たせば大丈夫だと思っている税理士も多く、
税務調査では意見が合わずに困り果てることも多いようです。

また私のセミナー後にも、税理士から功績倍率に関する質問をよく受ける
のですが、なかなか回答しにくい現実があります。

実際に弊社の税務調査対策コンサルティングで
今年も役員退職給与の指摘を受けたケースがありました。

結論から言うと、形式基準を満たしたからといって
否認されないものではありません。

逆に形式基準をある程度逸脱しても是認されるケースも多いのです。

一般的に功績は、

代表取締役:3.0倍
取 締 役 :2.0倍
監 査 役 :1.0倍

であれば妥当性が高く、
税務調査でも否認されないと言われています。

俗に言う退職金の「形式基準」の一つです。

元国税調査官として言えるのは、確かにこのような「形式基準」を
満たしていた場合、非常に否認しくいことは確かです。
(否認できないと言ってるわけではありません)

さて、ここで税理士の皆さんが最も大事なのは、
法人から「もっと退職金を支給したいのですが」
と相談を受けた場合でしょう。

類似法人の退職金額を調べようにも、
実務上簡単に調べられるものではありません。

退職金の場合は税務調査で指摘されるのを
前提に支給すべきだと思います。

その際に最も重要なのは、
【 なぜ退職金がこの金額なのか 】
という根拠を最初から考え、書面で作っておくことです。

最終月額報酬が30万円、10年間の在位年数にもかかわらず
3,000万円の退職金が認められたケースもあります。

つまり単純計算で功績倍率10倍です。

このケースでは、会社の再建に貢献した社長が、
自宅を売却して借入金を返済したり、役員報酬を
大手企業在職時の給与の半額に抑えたりしたことです。

そして結果として1億円の所得を計上できるまでの
会社になった特殊事情が勘案されてのことです。

功績倍率の形式基準がまことしやかに言われていますが、
その数字を調査官の多くが基準値として使っていることも問題で、
それを超えた場合に安易に否認してくることです。

税理士としては「実質基準」をベースに考え、
税務調査の対策を講じて欲しいものです。

 

※2010年7月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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