わざとじゃない仮装・隠ぺいがあり得るのか!?
※2016年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
先週全国4ヵ所で、経営者向けのセミナーを開催しました。
税理士の方も数多くご受講いただきました。
さて、このセミナー内でかなり強調したのですが、
重加算税の「本当の」要件は何か?ということです。
国税通則法第68条では、重加算税の法的要件を
「隠ぺいまたは仮装」と定めているわけですが、
法律・通達ではこれ以上の定義がなく、あくまでも
「隠ぺいまたは仮装」が具体的にどのような
行為を指すのかまではわかりません。
事務運営指針を見ると、あくまでも例示があるので、
税務調査で議論の対象になりやすいですが、これらの
例示は、明らかな重加算税対象の行為ばかりで、
現実的に微妙な判断・判定の基準にはなりません。
「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703-2/01.htm
ここに定める「隠ぺいまたは仮装」は、多数の
判決・裁決を見ると(個々の判断に差異があるにせよ)
明らかにされているのですが・・・
結局のところ、隠ぺい・仮装の両行為に共通するのは
【わざと】【故意に】やったかどうかです。
隠ぺい・仮装という両方の言葉には「わざとやった」
「意図した行為」だという意味が包含されています。
調査官に対して「重加算税の要件は故意・わざとなど
法律等に書いていない」と反論されたら・・・
逆で考えればすぐにわかります。
「うっかり隠ぺいしました」「ミスって仮装しました」
など、言葉の意味合いとして成立しないのです。
このような場合は、「では、故意ではない隠ぺい・仮装
とはどのような場合か、例えでいいから言ってみて」
と主張すると、誰も反論できません。
ですから、税務調査で重加算税と指摘されたらまず、
「わざとしたわけではない」「ただのミスだ」
と反論することが有効になります。
こう反論することで「故意ではない=隠ぺい・仮装ではない」
と同じことになるからです。
このように主張すると、
「納税者自身が故意ではない・わざとやったわけではない
と主張すれば重加算税ではなくなるのか?」
と極論で反論してくる調査官もいることでしょう。
これもまた違います。本人が認めなくても
外形的・客観的に見た場合に隠ぺい・仮装だと
調査官が考えるのであれば、事実認定すればいいのです。
私がここで論じているのは、あくまでも
売上を除外したなど明らかなケースではなく、
一般的なミスや誤りまでをも税務調査において
重加算税と指摘された場合を言っています。
指摘された(誤りある)項目が重加算税と指摘された場合、
それが「起こり得るミス」であることを主張することです。
「故意」「わざと」でなければ重加算ではないのですから。
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