クレカ払い・領収書ナシの消費税否認指摘が急増
※2023年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今年は確定申告明けの税務調査が増加していますが、
その中でもクレジットカード払いで領収書の保存がなく、
クレジットカード明細だけで処理(保存)している項目を
否認指摘される事案が急増しています
(3万円未満のクレカ払いに限りますが)。
国税もインボイス制度の開始を前に、
消費税の「形式要件」に関して確認・否認指摘を
注視・強化していることがうかがえ、税務調査において
それを明言する調査官もいるようです。
まずはそもそも論から解説しますが、
ネットや店舗等でクレジットカード払いをした場合、
その事業者は信販会社(VISA・JCB・AMEX
などのクレジットカード会社)に対して債権譲渡をした
という理解になります。図示すれば下記となります。
国税庁質疑応答事例「クレジット手数料」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/06/02.htm
なお、クレカ決済を導入している事業者における
クレカ手数料は、債権譲渡の手数料である限り
消費税区分は非課税となりますが、決済代行会社を
通している場合の手数料は「課税」となります。
「クレジットカードの手数料は本当に非課税なのか?」
https://zeimu-chousa.jp/2018/03/28/creditcardcommission/
さて、ここから本論ですが、クレカ払いをした場合、
信販会社から発行されるクレカの請求明細書については
仕入税額控除の要件を満たさず、あくまでも
クレカ払いをした相手方事業者から発行された領収書等が
消費税第30条第9項第1号に規定する
「請求書等」に該当することになります。
国税庁の質疑応答事例にも下記が明記されています。
「カード会社からの請求明細書」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm
なお、この質疑応答事例は若干理解しづらいのですが、
「利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、
「ご利用明細」等を発行」しており、それをもって
「請求書等に該当」つまり仕入税額控除の要件を満たすと
記載されています。これは店舗等でクレカ払いをした場合に
発行される「クレジット売上票」を指していると推察します。
画像で明示すると下記の「利用伝票(売上票)です。
https://www.j-credit.or.jp/customer/find-new-life-magazine/creditlife9.html
ですから原則として、相手方事業者が発行した
領収書の保存がない場合、仕入税額控除の要件を
満たさないことに変わりはありません。
実際の税務調査では、調査官も形式要件
(=クレカ明細はあるが領収書がない)だけをもって
強く否認しようとはしないようですが・・・
ただ、税務調査においてクレカ払い/領収書なしで
仕入税額控除を否認指摘された場合、
クレカ明細だけで経理処理をしていた顧問先からすると
「税理士から領収書を受取って保管とは聞いていない」
としてモメるケースが容易に想定できます。
インボイス制度が導入されるのにともない、
領収書保存はマストになるわけですが、その前から
きちんと確認・指導はしておくべきでしょう。
なお、ネットでの購入等、領収書等が発行されない場合の
対応については下記の質疑応答事例を参照してください。
「インターネットを通じて取引を行った場合の
仕入税額控除の適用について」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/11.htm
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