ココイチの否認事例から何を学ぶか?
※2019年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
「「CoCo壱」創業者20億円申告漏れ
「ストラディバリウス」など減価償却」
https://www.zakzak.co.jp/eco/news/190606/ecn1906060007-n1.html?fbclid=IwAR3lHF4-uEcUAOainFBGvB10xydk-cAKhFxfUTDkuix8cBYlLyfAiWNtCVU
他にも報道記事が多数ありますが、
事実関係を端折ってないこちらの記事が
もっとも事実関係がわかりやすいと思います。
さて、この記事を読んでSNSなどでは、
「楽器だから減価償却できないのは当然」
というような意見・見解が散見されますが、
その認識もどうかとは思ってしまいます。
少なくとも記事を読むに、対象となった楽器は
絵画や骨とう品などとは相違し、飾りではなく
音楽活動には使用されていたものと推察します。
ですから、顧問税理士も一般的な音楽家が使用している
楽器と同じように減価償却できると考えたのでしょう。
しかし現実は、土地や骨とう品などのように、
【時の経過により価値が減少しない資産】は、
そもそも減価償却資産にはならない、という
法人税施行令第13条の適用を受けたことになります。
今一度確認しておきますが、「高額な楽器だから」
減価償却できない、ということではありません。
あくまでも「時の経過により価値が減少しない資産」
という判断であることは間違えないでください。
また本調査・課税事案は、単純に減価償却の処理誤り
ではなく、相続対策スキームの否認となっています。
記事の情報から推察を含めて事実関係を整理してみます。
〇個人所有のストラディバリウスを法人に額面譲渡
〇譲渡対価を法人側では借入金として計上
〇本借入金は相続財産になることから、
この対策として下記のスキームを実施
〇借入金を個人から債務免除
〇債務免除益を減価償却費で当てる(見込み)
〇ストラディバリウスは価値が減価しないことを根拠に
減価償却費が否認された(法人側で否認)
〇1人の株主による債務免除益で株価が上がったため、
他の株主に「みなし贈与」があったものとして課税
〇他の株主は宗次氏の相続人と思われる
上記のような節税スキームには専門家としての
責任が当然に生じるわけで、報道にもあるように
本事案も税理士への賠償請求がなされるでしょう。
一方で、この税理士が税賠保険に加入していても、
税金の過大申告ではありませんので、
税賠保険の適用はありません。
さて、税理士・会計事務所としてこのような事案に
できる限りのリスクヘッジをするには
どうしておけばいいのでしょうか。
(1)リスク説明は果たしておく
本事案において担当税理士がどう考え・認識していた
のかはわかりませんが、もし「減価償却できない」
リスクを少しでも認識していたのであれば、
その課税リスクを説明し、同意を得た旨を
書面等で残しておく必要はあったと考えます。
(2)セカンドオピニオンを勧める
医者の世界では当たり前になっているようですが、
見解が分かれる論点がある場合、あえて
他の専門家にも意見を聞くよう勧めるという
手立ても必要かと思います。
(3)税理士自身が専門家に確認する
弊社では「コンサル質問会」を運営しています。
http://kachiel.jp/lp/consulting-question/
税理士が専門税理士に質問できるサービスですが、
事前に質問しておけば、無知のみならず、
勘違いや思い込みも回避することができます。
特に、相続税対策を講じる提案をする場合、
税理士としてのリスクも大きくなりますので、
ぜひ注意していただきたいポイントです。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。