コピーをとらせるのか?
今回のテーマは、『コピーをとらせるのか?』です。
税務調査の現場では、調査官に資料のコピーを要請されることがあります。税理士の中には、調査官が帳票類のコピーを持ち帰ることに対して、違和感を感じている方も多いのが現状のようです。
違和感を感じる理由は、
①本来あるべき税務調査とは、帳簿書類を備え付けている事業所等で
原始資料を見ながら行うべき行為であると考えている
②コピーを渡すことで納税者に不利なるのではないかという疑念がある
③コピーをとることを依頼されると納税者側の労力が増える
④ただでさえ税務調査を負担に感じている納税者が、コピー代まで
負担したくないと(税理士の知らないところで)本音では思っている
などが考えられます。
まず、税務調査でコピーをとらせるかどうかは納税者の任意である
ということの認識を持つことが大事です。
税務調査では、調査官に「帳簿書類等(原始帳票類を含む)を
提示すること」が(受忍)義務なのであって、
そのコピーを渡して持って帰ってもらうかは
(受忍)義務の範疇ではありません。
このようなケースでは、コピーをとるのかどうかの
メリットとデメリットを税理士が比較して判断することが大事です。
【メリット】
税務調査が早く終わる
→コピーをとらなければ事業所等が占有され、また対応する
時間を余計にかかるという事実があります。
納税者からすると税務調査が早く終わることを望んでいるでしょう
【デメリット】
本来必要のない原始帳票類までコピーをとらされ労力がかかる
→この点は、下記の2点を調査官に要求することで解消できます。
①コピー代金の実費(時価)請求をする
白黒:@10円 (カラー:@50円)
コピー代金の実費請求をしても調査官は驚きません。
調査官はいったんポケットマネーから払いますが、
税務署に戻れば負担した金額を費用精算しています。
(少額であれば精算しないことも多いのが事実ですが)
納税者が負担すべきではないのがコピー代金です。
本来は、調査官がコピー機を持ち込んでコピーをとればいいのですが、
簡易コピー機といえど税務署にそれほど配備されているわけではなく、
実際に持ち込むのは調査官に大変な労力がかかります。
これを納税者が負担しているのですから、実費請求は
納税者として当然の権利だといえます。
②コピーを調査官にとらせる
調査官は簡単に「これをコピーとってください」などと言いますが、
この労力自体を納税者側で負担したくないのであれば、
「コピー機はそこにあって貸しますので自分でコピーしてください」
と言うことは、正当な要求です。
ここで注意が必要なのですが、コピーをとって渡すのであれば、
調査官にコピーさせるのではなく、あえて納税者側で
コピーをとった方がいいのです。
税務調査では、どの帳票類をコピーをとったのかが大事です。
なぜなら、どこを調べられているのかわからなければ
次の対応方法が考えられないからです。
コピーするならあえて納税者側がして、
同じものを「2枚コピーする」ことをお勧めします。
こうすることで、納税者側に控えが残り、
どこをコピーした(された)のか明確になるのです。
※2011年10月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。