コロナ禍でも増差所得・税額・重加算税が急増
※2021年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎年この時期に国税庁から発表されている
「調査事績の概要」について、例年通り
11月末に最新情報が公表されました。
今回のメルマガでは公表内容から、
法人の税務調査の傾向について解説します。
※令和2事務年度=令和2年7月~令和3年6月
まず実地調査の件数ですが、前年対比32.7%
(約2万5千件)と激減する結果となっています。
なお、コロナの影響がなければ例年の調査件数は
約10万件程度であることから、4分の1程度の
調査件数になっているということです。
昨年と同じく、今年も緊急事態宣言が明けて
10月から税務調査は再開されていますが、
7~9月に調査がほぼなかったこと、さらには
年明けのコロナ感染状況等によっては、
さらに調査件数が下がる可能性もあり得ます。
法人税における税務調査での否認割合は、
20千件÷25千件=約80%
となっており、否認率は例年より高く、
5件に4件という非常に高い水準になっています。
これに連動してでしょうが、
調査1件あたりの増差所得(法人税)は、
21,440千円(前年:10,230千円)となっており、
さらには調査1件あたりの追徴税額は7,806千円
(前年:3,135千円)と増差所得・税額ともに前年の
2倍以上となっているところが特筆すべき論点です。
重加算税の賦課率である「不正発見割合」は、
「26.5%」となっており、例年20%程度の
割合が急増していることからも、コロナ禍になって
税務調査の件数は急減
⇒
増差が見込まれる調査先に注力
⇒
1件あたりの増差額が急増・重加算税の
賦課割合も急増
という傾向が強くなっています。
また、昨年の公表内容でも顕著でしたが、
今年はさらに「簡易な接触」の件数が増えています
(前年対比:156.5%)。
コロナ禍で実地調査を増やせない国税が、
簡易的な接触に切り替えてくるのは予想できて
いましたが、想像以上に件数が多いです。
ここにいう「簡易な接触」とは、
「実地調査以外の手法を用いた接触」
(電話や書面郵送など)により自主的な
修正申告の勧奨(もしくは期限後申告の提出)を
求める行為を指していますが、提出した
修正申告に加算税が課されるかどうかで、
税務署とモメる要素が多い論点です。
この点は、下記私の記事(過去メルマガ)
を参考にしてください。
なお、個人事業主など所得税に関する
調査事績は、下記をご覧ください。
毎年公表されている調査事績ですが、
これを見るだけで、税務調査のみならず
国税の方向性が見えてきますので、
ぜひ参考にしてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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