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2016.11.10

ロータリーの会費は必要経費なのか?

※2016年1月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

今週で法定調書の提出期限も終わり・・・
来週から本格的に個人の申告時期になります。

さて、私がよく聞かれることに、
「ロータリークラブなどの諸会費は必要経費に
ならないんですか?」という質問があります。

過去の判決・裁決等を調べてみると・・・
結論は「必要経費にならない」と言わざるを得ません。

司法書士が必要経費に算入していたロータリークラブの
入会金及び会費について争った公開裁決事例があるのですが、
そこでも納税者が負けています。

平成26年3月6日公開裁決
http://www.kfs.go.jp/service/JP/94/03/index.html

【要旨】
事業所得の金額の計算上、必要経費が総収入金額から
控除されることの趣旨は、投下資本の回収部分に課税が
及ぶことを回避することにあると解されるところ、
日常生活において事業による所得の獲得活動のみならず、
所得の処分としての私的な消費活動も行っている個人の
事業主における事業所得の金額の計算に当たっては、
事業上の必要経費と所得の処分である家事費とを
明確に区分する必要があり、それらを踏まえて
所得税法第37条1項、同法45条《家事関連費等の必要経費
不算入等》第1項及び所得税法施行令第96条《家事関連費》
第1号の各文言に照らせば、所得税法第37条第1項のいう
費用とは、単に業務と関連があるというだけではなく、
その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上
必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、
単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、
当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を
総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に
行われなければならないと解される。以上のことから、
請求人が本件クラブの会員として行った活動を社会通念に
照らして客観的にみれば、その活動は、登記又は供託に
関する手続について代理することなど司法書士法第3条
《業務》第1項各号に規定する業務と直接関係するもの
ということはできず、また、その活動が司法書士としての
業務の遂行上必要なものということはできない。

この判断は、個人的に納得できるものではありません。
なぜなら、法人であれば(上限はあるにしても)交際費
として、明確に経費になるからです。

法人税基本通達9-7-15の2
(ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)
法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する
入会金又は会費等を負担した場合には、次による。
(1)入会金又は経常会費として負担した金額については、
その支出をした日の属する事業年度の交際費とする。
(2)(1)以外に負担した金額については、
その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。

法人で交際費なのであれば、個人でも交際費
=必要経費なのでは?と率直に思いますが・・・

結局のところ、必要経費(所得税)の概念は、
「業務の遂行上(明確に)必要であること」
とされているので、どの勘定科目か?ではなく、
その前段階で判断する(される)ことになります。

ただし、現実の税務調査では、これら諸会費については
「実際にこの会から売上がたっているじゃないか!」
と反論することで、必要経費として認められた
という事案は、多数存在することも知っています。

こういうことから考えると、

○必要経費に算入しても調査で絶対に
否認されるわけではない(確率論)

○ただし、出るところ出れば負ける

ということなのでしょう。

諸会費の必要経費算入については、会計事務所が
もっとも判断に悩むところです。

ぜひ、上記裁決を参考にしてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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