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2017.12.20

不動産を購入した場合の按分計算の注意点(その2)

※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「不動産を購入した場合の按分計算の注意点(その2)」ですが、

平成13年2月19日の裁決を取り上げます。

次回「その3」を解説します。

前回同様、鉄筋鉄骨コンクリート造の賃貸マンションを購入した場合の

按分計算に関する事例です。

この事例でも、前回の事例と同様、売買契約書に内訳が無くても、

土地、建物、建物附属設備に按分することが「必要」と判断されています。

では、土地と建物に分けることはともかくとして、

どのように建物と建物附属設備に分ければいいのでしょうか?

実務上、前回の事例で判断されたような建物の工事請負契約書は

入手できないケースはかなり多いと思いますが、入手できない場合は

どのように考えればいいのでしょうか?

これに関し、国税不服審判所は下記と判断しています。

〇合理的な方法で建物の取得価額を建物本体及び建物附属設備に

区分計算する必要があるが、請求人が主張する販売会社又は建築会社が

作成した譲渡原価証明等に基づいた建物本体及び建物附属設備の

価額の割合による方法、あるいは、請求人提出の再建築費評点数算出表に

おける建物本体及び建物附属設備の構造別の再建築費評点数の割合

による方法も合理的と認められることから検討したところ、

次のとおりである。

〇〜については、譲渡原価証明等に記載された建物本体及び

建物附属設備の割合を不相当とする理由は認められないことから、

この割合により区分計算する方法が合理的と認められる。

〇〜については、■■■(注:販売会社)が建物本体及び建物附属設備の

区分をしていたか否か不明であり、建物本体及び建物附属設備それぞれの

工事費等の割合の算出が困難であることから、請求人の主張するとおり、

公的機関が物件ごとに算出した再建築費評点数算出表における構造別の

再建築費評点数の割合により区分する方法が合理的と認められる。

結果として、

〇販売会社や建築会社が作成した譲渡原価証明等

〇再建築費評点数算出表

による按分計算を合理的と認めたのです。

ですから、建物の工事請負契約書が入手できない場合でも、

物件の状況により、いずれかの方法を採用すればいいのです。

では、ここで話を大きく変えます。

建物と建物附属設備に按分することは分かりましたが、

その前提として、土地と建物(上物)に按分することが必要となります。

これに関しては固定資産税評価額で按分することがよくあると思いますが、

この方法につき、国税不服審判所はどのように判断しているのでしょうか?

〇これらの割合(注:上記の2つの方法による割合)は、

新築時におけるものであるから、中古資産である〜については、

新築時から請求人の取得時までの損耗等を見込んでその割合を

補正する必要がある。

〇土地について

・平成6年度固定資産税評価額:2,326,615円

・平成9年度固定資産税評価額:1,281,078円

・補正後の金額:1,978,103円

→上記差額の1/3を平成6年度の価格にON)

→評価替えは平成6年、平成9年であり、本件は平成7年に購入

しているので、差額の1/3をONする。

〇建物について

・平成6年度固定資産税評価額:2,858,573円

・平成9年度固定資産税評価額:2,529,816円

・補正後の金額:2,748,987円

→上記差額の1/3を平成6年度の価格にON)

→評価替えは平成6年、平成9年であり、本件は平成7年に購入

しているので、差額の1/3をONする。

前回の裁決では、購入が平成6年だったため、

この計算はされていませんが、同様の考え方は示されています。

ただし、この計算方法には「1つの盲点」があります。

それは

「申告時点では『次の評価額』が出ていないことがあり得る」

ということです。

たとえば、本事例同様、平成7年の購入であれば、個人であれ、

法人であれ、平成9年の価格との差額の補正計算をすることは

100%無理です。

平成8年の購入でも無理なケースがあります。

しかし、国税不服審判書は「100%無理なこともあり得る方法が合理的」

と判断しているのです。

では、実務上、これはどのように判断したらいいのか?

これに関しては、次回解説しますので、ご期待ください。

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