不当な無予告調査を訴える
今回のテーマは、『無予告調査の要件』です。
先日、ある税理士から弊社に税務調査の相談が寄せられました。
複数店舗に同時に無予告調査が入り、その際に
この経営者と税理士に他のアポイントが入っていたようです。
税理士が携帯電話で、「他の日程にリスケジュールして欲しい」
旨を調査官に伝えたのですが、これに全く応じてもらえず、
税務署にクレームを入れて止めたいとのご相談でした。
今回は無予告調査の要件について書きたいと思います。
まず税務調査の事前通知については、国税に内部通達が存在します。
『税務調査の際の納税者および関与税理士に対する事前通知について』
(官総6-230他 昭和37年9月6日)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeirishi/620906/01.htm
『税務調査の際の事前通知について』
(官総8-193他 昭和39年12月24日)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeirishi/641224/01.htm
上記が国税内部で徹底できていない内情から、
さらに平成13年3月27日に「税務調査の際の事前通知について」
という事務運営指針が発遣されていますが、
「税務調査の際の納税者および関与税理士に対する事前通知について」
の徹底のため、再度発遣されているものです。(同内容です)
さて上記を読むに、無予告調査は原則として2つの要件を
満たしている場合に限って行うものであると考えられます。
①無予告調査でなければ、種々の状況から事実の把握が
困難と想定される場合
②事前通知をすれば、調査妨害等又は帳簿書類の
破棄・隠ぺい等が 予想される場合
つまり無予告調査の不当性を主張したい場合、
この2要件を満たしていることを調査官に
確認しなければなりません。
2要件のどちらも満たしていない場合、
無予告調査自体に不当性があると言えますので、
事前通知をしてからの調査を求めるべきです。
また税理士法第33の2条における書面添付をしている場合は、
さらに強力な交渉が可能です。
統括官が調査官に無予告調査を指示する場合、
内部ではその理由を記録することとされています。
書面添付していて無予告調査に入られた際、
情報公開法に基づき無予告調査の理由の開示を求めてください。
2要件を満たしていないにもかかわらず
意見聴取なしで無予告調査を統括官が指示したのであれば、
国家公務員法82条に基づいて、その統括官は
訓令違反として懲戒処分を受ける可能性があります。
一般的に無予告調査を受けられない場合は、
リスケジュールするようにと言われていますが、
まず要件から確認することも重要なのです。
※2010年9月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。