不服申立てができるのか?①
今回は『不服申立てができるのか?①』です。
弊社に相談がある税務調査事案については、
長引くものについては半年以上かかっているものがあります。
もちろん、依頼している税理士からしても、
税務調査が短期間で終わることは望ましいのですが、
どうしても譲れないポイントがあって、
税務署側と食い違い続けると、修正申告できないため、
更正になるかどうかで争い続ける形にならざるを得ません。
私は常々、否認指摘に納得できないなら調査官に
「更正してください」と言うよう伝えています。
ここでよく勘違いしている人が多いのは、
更正という処分を税務署からされるのは、
何か悪いことをしたという「根拠のない」
イメージを持っていることです。
修正申告でも、更正であったとしても、
本税(増差税額)は同じで、加算税も延滞税も同じです。
とするなら差があるのは、不服申立てを
できるかできないか、だけが差だといえます。
条文の構成を見ていただきたいのですが、
国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)では、
1項:申告是認
2項:更正
3項:修正申告
となっています。
つまり、あくまでも法律上は、税務調査というのは
非違があれば原則「更正」であって、
納得した場合のみ「修正申告」なのです。
さらに勘違いは続きます。
多くの人は、「修正申告したら不服申立てできない」
と理解していますが、そうではありません。
まず条文を確認してみましょう。
国税通則法第75条(国税に関する処分についての不服申立て)
国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに
不服がある者は、当該各号に掲げる不服申立てをすることができる。
つまり、「処分」されれば不服申立てすることが
できるのであって、修正申告かどうかは関係ありません。
修正申告は、国税通則法第19条により、
主語は「納税者が」となっていますので、
税務署からされる処分ではありません。
ですから、税務調査の結果として修正申告をすると、
本税部分のみは不服申立てすることはできませんが、
加算税(と延滞税)は別途「処分」なので、
不服申立てすることができるのです。
例えば、否認指摘には納得したので修正申告書を
提出したところ、後日重加算税の賦課決定通知が
送られてきた場合、重加算税に納得できなければ、
重加算税の取消に関する不服申立てをすることができます。
(本税部分はできません)
この点、不服審判所のサイトには
「不服申立ての対象等」と題して
まとめが載っていますのでぜひご覧ください。
http://www.kfs.go.jp/system/object.html
引き続き「不服申立てができるのか?②」もご覧ください
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
2013年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。