事前通知で加算税が課されるのはいつから?
※2016年1月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税制改正が発表されて、すでに約1ヶ月となりますので、
ほとんどの方が改正内容を把握している時期かと思います。
税務調査に関連した改正内容としては、
自主修正申告における加算税(率)の見直しが挙げられます。
すでに何度もブログ等で取り上げているとおり、
現行の取扱いは、
事前通知があった
⇒ 申告内容を見直した
⇒ 調査初日までに提出した修正申告は
自主修正として過少申告加算税は課されない
とされています。この根拠となるのは、
国税通則法第65条第5項に定める、いわゆる
「更正の予知」に該当しない、とするもので、
加えて事務運営指針にも明記されています。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703/01.htm
の「第1 過少申告加算税の取扱い」の「2 注書き」に
「臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が
提出された場合には、原則として「更正が
あるべきことを予知してされたもの」に該当しない。」
とされています。
だからこそ私は常に、税務調査の「事前」対策として、
事前通知があってから、「申告内容を見直すこと」や、
少なくとも顧問先に対して、「私(税理士)に言っていない
ことはないか?」と確認すべき、と言い続けてきました。
事前通知があってから、調査初日までに修正申告して
加算税を免れる、というのが一般化したのか、
この行為に歯止めをかける改正が行われます。
具体的には、調査を行う旨、調査対象税目及び
調査対象期間の通知以後、かつ、その調査が
あることにより更正予知する前にされた
修正申告に基づく過少申告加算税の割合が、
0%から5%になるというものです
(50万円を超える分はさらに5%を併課)。
この改正により、調査初日(臨場)ではなく、
「調査の通知が基準」となって、それ以降の
修正申告には加算税が課されることになります。
さて、この改正なのですが、適用時期に
気を付けていただきたいと思います。適用は、
「上記は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が
到来する国税又は同日以後に申告書の提出期限が
到来する地方税について適用されます。」
ここで注意が必要なのは、今年(平成28年)に
行われる税務調査には絶対に適用がない、という
ことに加えて、来年(平成29年)の税務調査でも
ほとんどの影響がない、という事実です。
再度確認しますが、上記加算税5%の適用基準は、
【平成29年1月1日以後に法定申告期限が
到来する国税】についてです。
税務調査の時期が基準ではありません。
来年実施される調査であっても、上記申告期限を
ベースで区切ることになるのです。
ですから、どんなに適用が早くても、法人では
来年(平成29年)1月申告(期限)=今年11月決算
の法人に、来年春以降調査に入った場合です。
しかも、その場合であっても、直近期のみが
適用になりますから、例えば、5年分の
自主修正申告をしても、直近1年分のみが
対象になるということです。
こう考えると、実際は適用が結構先になりますから、
しばらくは現行の通り、事前通知があってからの
事前対策は非常に有効ということになります。
適用時期を誤って理解すると、調査対応を
間違いますので、ぜひ注意してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。