事務運営指針から学ぶ
先日、エプソン販売さんにお呼びいただいて、
税務調査手続きの改正について講演してきました。
確定申告が明けて、春の税務調査シーズンとなりました。
ここでは、改正に関してブログを書いておきます。
税務調査手続きの改正については複数の書籍が出版
されており、勉強されている方も多いと思いますが、
ご自身で勉強される場合は、「順序」があります。
改正によって下記の3つが改正・制定されました。
・国税通則法(第74条の2以降)
・通達
・事務運営指針
ここで通常は、
通則法→(通則法を解釈した)通達→事務運営指針
の順番で勉強するかと思いますが、
この順序はオススメできません。
(少なくとも今回の改正については、という話です)
このまったく逆の順序で勉強すると理解が進みます。つまり、
事務運営指針 → 通達 → 通則法
の順序で勉強するのです。事務運営指針をご覧ください。
「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
いくつかの項目に「手続通達〇ー〇」など、
参照すべき通達が書かれています。
これを見て通達を参照するのです。そして、
通達が解説している法律を確認することです。
例えば、新たに制定された留置きの制度ですが、法律を読むと
第74条の7(提出物件の留置き)
国税庁等又は税関の当該職員は、国税の調査について必要があるときは、
当該調査において提出された物件を留め置くことができる。
とだけ書かれており、調査官があたかも強制的に
帳簿書類等を持って帰れるかのように思いますが、
事務運営指針には
「(4) 帳簿書類その他の物件の提示・提出の求め
調査について必要がある場合において、質問検査等の相手方となる者に対し、
帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)の提示・提出を求めるときは、
質問検査等の相手方となる者の理解と協力の下、その承諾を得て行う。」
と記載されており、去年まで同じように
結局のところ納税者の承諾が必要ということがわかります。
これは法律だけを読んでいればわからないことです。
また、TAINSを見ることができる方は、
改正にともなう「個別通達」(平成24年9月20日付)が
開示されていますのでぜひ読んでいただきたいと思います。
TAINSでの検索方法
【税区分】その他【検索範囲】通達【キーワード】事務実施要領
開示されているのは、12の内部通達です。
(1)調査手続等に関する当面の事務実施要領について(指示)課総2-36ほか7課
(2) 同上 (個人課税事務関係)課個8-16ほか4課
(3) 同上 (法人課税事務関係)課法4-51ほか3課
(4) 同上 (資産課税事務関係)課資5-64ほか3課
(5) 同上 (間接諸税事務関係)課消4-28ほか4課
(6) 同上 (調査課事務関係)査調2-73ほか2課
(7) 同上 (資料調査課等事務関係)課総6-11ほか5課
(8) 同上 (総合調査担当特別国税調査官事務関係)課総7-3ほか4課
(9) 同上 (開発調査担当特別国税調査官関係)課総5-12ほか6課
(10) 同上 (資料情報部門等関係)課総5-13ほか6課
(11) 同上 (酒税事務関係)課酒6-9ほか2課
(12)査察事件に係る課税処理及び異議申立て等に関する
当面の事務実施要領について 課総2-41ほか7課
法律とは別に、通達・事務運営指針のみならず、
個別通達まであるのですから、しっかり
勉強しておく必要があるのです。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
2013年3月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。