事業承継税制の要件から考える経営承継1
※2023年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「事業承継税制の要件から考える経営承継1」です。
例年とおり、与党税制改正大綱が
来月中旬には公表されることになるかと思います。
最近の動きの中では、
令和6年度税制改正要望において
経済産業省(中小企業庁)が
事業承継税制に関する要望を提出しています。
財務省HP:税制改正要望(事業承継税制)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/request/meti/06y_meti_k_35.pdf
経済産業省HP:要望の詳細(P28~P30)
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_r/pdf/1_02.pdf
要望の概要は以下のとおり。
1.特例承継計画の提出期限の延長
2.その他円滑な事業承継の実施のために必要な措置を検討
適用期限である令和9年12月31日の
延長には言及はされていませんが、
公表される令和6年度 与党税制改正大綱
の内容は注目度は高くなるものと推察します。
ここでは、適用期限が延長されない前提で
タイトルの内容を検証します。
■適用期限がもたらす意味
事業承継税制(特例版)が求めるのは
適用期限である令和9年12月31日までに
贈与・相続等で株式が承継されること
です。
つまり、
贈与で株式が承継されるか
相続・遺贈で株式が承継されるか
を意味します。
ここで・・・
改めて「事業承継」とは何かを考えてみると
1.経営承継
2.財産承継
の2つを完了させることと断言できます。
我々税理士にとっては、
事業性資産の代表例である自社株の承継問題
つまり、財産承継をもって
事業承継と捉えがちです。
そこには、課税の問題が生じるためです。
しかし、株式だけを承継しても
事業承継が完了したことにはなりません。
経営者(代表取締役)が交代して初めて
事業承継したといえます。
中小企業庁の肝いりで始めた事業承継税制は、
単に株式の移転だけを求めるのではなく、
経営の承継を求める制度構成になっています。
贈与での株式承継を考えると
(1) まず、代表取締役を交代し
(2) 次に、贈与によって株式を承継する
という流れが必要となります。
仮に贈与で株式承継を目指すのであれば
どんなに遅くとも令和9年12月31日までに
代表取締役を交代する必要があります。
ただし、後述しますが、
後継者が代表就任にしてから贈与することが
求められますので、実務的には
令和9年12月30日までに
後継者が就任する必要があると推察します。
次回は、
これらの根拠を条文で確認するとともに
タイムリミットまでの検討事項をご紹介します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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