交際費課税:リベートの相手方を明かせない場合の対応2
※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週の金曜メルマガから引続き、
取引相手方の役員・従業員に対して
リベート等を支払ったケースですが、
今回は「費途不明の交際費」です。
リベートの相手方を明かせない場合、
税務調査では「役員賞与+重加算税」と
指摘されるケースが多いと思います。
調査官の論理としては、使途がわからない
以上は経営者が個人的な支出をした
(法人が支出する明確な理由が不明)、
かつ相手方を明かさないことを「隠ぺい」
と【解釈】するものです。
一方で、これに対する反論として
最もわかりやすい主張は「費途不明の交際費」
として損金不算入とすることです。
法人税基本通達9-7-20(費途不明の交際費等)
法人が交際費、機密費、接待費等の
名義をもって支出した金銭でその費途が
明らかでないものは、損金の額に算入しない。
役員賞与で損金不算入+源泉が発生する
くらいであれば、単純に損金不算入に
した方が得ということです。
調査官側からすると、上記通達に
該当しないと反論することは難しいでしょう。
なお、費途不明の交際費として
損金不算入を受け入れた場合、
対価性が認められないことから
消費税は否認されてしまいますが、
これは役員賞与とした場合も同じです。
では、調査官から「使途秘匿金」で
40%の別段課税と指摘された場合、
どのように反論すべきでしょうか?
使途秘匿金については来週の本メルマガで
詳細に解説することにしますが、
一般的には調査官が使途秘匿金と
言い出しても、本当に使途秘匿金として
課税されるケースは少ないはずです。
秘匿金課税をする場合、税務署は
国税局に上げて決裁を得なければならず、
調査官もそこまでして秘匿金課税する
意味合いは低いからです。
調査官が使途秘匿金を持ち出す意図は
簡単で、「秘匿金課税されたくなければ
重加算税を受け入れてください」という
落しどころにもっていきたいのです。
また、「使途秘匿金とは何なのか?」
を知っておけば、ほとんどの調査事案で
適正な反論は可能となりますので、
来週は使途秘匿金を取り上げます。
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