交際費課税:リベートの相手方を明かせない場合の対応3
※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週金曜のメルマガから引続き、
取引相手方の役員・従業員に対して
リベート等を支払ったケースですが、
今回は「使途秘匿金」を取り上げます。
従来から、その使途・費途が明らかにならない
支出に関しては、法人税基本通達9-7-20で
損金不算入と規定されています(この論点は
先週の本メルマガで解説しました)。
一方で、費途不明として申告加算している中に、
ヤミ献金や賄賂など、不正資金が含まれている
との批判から、それら違法行為を抑制するため、
平成6年から「使途秘匿金」が導入されました。
平成28年の国会でも、下記の
質問主意書が提出されています。
一部抜粋しておきます。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190181.htm
「使途秘匿金は、賄賂や談合金、秘密政治献金、
総会屋対策費のような、違法または不当な支出
につながりやすく、公正な取引を阻害する
ことになりかねない。税負担の公平性の確保、
公正な取引を確保する為には企業の使途秘匿金
の支出を無くすことが不可欠である(略)」
使途秘匿金とはこのような主旨で、
損金不算入であろうと欠損金があろうと、
40%の別段課税としているのは、
法的に罰則的な意味合いとなっています。
ここから明らかなように、使途秘匿金とは
単に税務調査で相手方を明かさない、
という行為を対象にしたものではなく、
【違法支出】を対象にしているのです。
今回取り上げているリベート・キックバックが
この違法支出の範囲に含まれるのかは
明確ではありませんが、一般的な商取引の
範疇と考えれば、使途秘匿金の範囲外
だと判断するのが普通でしょう。
またリベート・贈答などとは相違しますが、
たとえば旅行・飲食・ゴルフ接待などの
相手方を明らかにしない場合であれば、
明確に秘匿金課税の対象から外れます。
なぜなら、措置法第62条第2項の定義から、
使途秘匿金は金銭の支出・贈与・供与・
資産の引渡しなどに限られており、相手方の
費用等を負担したことは、これらに
該当しないことになるからです。
このように、税務調査で調査官が
使途秘匿金と指摘してきた場合であっても、
「使途秘匿金とは何か?」を理解していれば
反論可能な場合がほとんどなのです。
来週はリベートの相手方を明かせない場合に
指摘される「重加算税」について解説します。
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