交際費課税:リベートの相手方を明かせない場合の対応5
※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
リベートの相手方を明かせない場合の
税務調査対応についてシリーズで
解説してきましたが、今回は過去
4回分を踏まえた「総まとめ」です。
さて、相手方を明かせない(明かさない)場合、
まず【優先順位】をハッキリさせてください。
「相手方を守りたいが課税は受けたくない」
がベストなのは理解しますが、現実の
税務調査がこれで終わることはありません。
今後の取引継続や、相手方への反面調査を
何としても避けたい、という優先順位であれば
こちらでの課税を受け入れるしかありません。
調査官に対する譲歩案の提示としては、
最初に法人税基本通達9-7-20の
「費途不明の交際費」で損金不算入を
自ら主張することです。
ここで、損金不算入+相手方の追求なしで
調査官が受け入れれば、十分
その目的は果たせたといえるでしょう。
しかし調査官が、費途不明の交際費であっても
相手方の追求をする(反面調査や相手方への
課税など)と主張してきた場合は、次は
「役員賞与」と提示することになります。
役員賞与ということは、取締役が
「個人的な支出をした=事業関連性がない」
ということですから、役員賞与となれば
相手方を明かす必要性はなくなります。
ここでは、役員賞与による「損金不算入」
「源泉課税」「仕入税額控除の否認」の
トリプル課税を受け入れるか、
相手方を明かすのか、の選択になります。
役員賞与とするのに、相手方を追求する
というのは論理的にあり得ません。
ただし、役員賞与とする場合は特に、
調査官が「重加算税」を主張してくる
ケースが多いでしょう。
どのような税務調査でも同じですが、
重加算税だけは避けなければなりません。
重加算税が賦課されるということは
「将来の調査頻度が上がる」など
デメリットが多いからです。
費途不明の交際費を受け入れた場合に
重加算税が課されないことについては
先週のメルマガで解説しましたが、
役員賞与を受け入れた場合も同じで、
「何か積極的に仮装・隠ぺい行為を
行ったわけではない」(から重加算税の
課税要件を満たしていない)
と主張することになります。
なお、税務調査で問題にならない、
かつ課税額を極力抑えるためには、
相手方を明かせないリベートを
税引後の役員報酬から支払うことを
強くお勧めします。これについては、
10月2日に配信した「交際費課税:
リベートの相手方を明かせない場合の対応1」
を参照してください。
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