交際費課税:寄付金との区分(業務委託費)
※2020年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎週金曜の本メルマガでは交際費課税について
解説してきましたが、今回が最後になります。
今回は、税務調査でもよく指摘されがちな
「外注先への業務委託料が高額」と
指摘された場合に反論すべき論点の整理と、
交際費か寄付金かの判断基準を解説します。
外注先への業務委託料など支払報酬が
損金と認められるための要件は下記です。
・業務委託の内容が説明できること
(委託内容が不明確であると難しいので
契約書で業務内容を明記する)
・委託業務が実際に遂行されていること
(成果物がある、もしくは役務提供であれば
報告書やメールなどで判断)
・報酬額が相当・適正であること
(他業者に委託した場合の報酬額と
比して不相当に高額ではない)
業務委託費が「高額」と指摘された場合、
上記の要件から照らし、報酬額が
適正・合理的であることを説明できる
ことが必要となりますので、例えば
「実績がある」「信頼性がある」など
プラス要因を主張する、もしくは
実際に他社の見積りなど提示することで
不相当に高額ではないことを説明する
ことが重要になります。
そのうえで、不相当に高額な部分がある
と認めるのであれば、
●取引の謝礼的な意味合いがある、
もしくは今後の取引の円滑化を期待した
⇒
交際費
●資金援助的な意味合いがある
⇒
寄付金
と判断・区分されることになります。
実務上でいえば、
・期末など一時的に報酬額を追加増額
しているような支払部分
⇒
交際費
・本来は委託者が負担すべきではない
金銭を負担している部分、もしくは
関連会社に対する役務提供が不明確な支払
⇒
寄付金
と認定されることが多いでしょう。
同じ「役務提供に比して不相当に高額」と
いえど、交際費と寄付金にはそれぞれ
判断基準があるわけですが、税務調査では
交際費と主張した方が有利な場合が多いです
(区分・判断基準は曖昧ですから)。
ここまで交際費課税について全般的に
取り上げてきましたが、税務上の
交際費の範囲は意外に広いですし、
解釈が曖昧な部分も多いので、
ぜひ体系的に理解してください。
今年の本メルマガもこれで最終です。
来年も税理士・会計事務所の方々に
役立つ情報を配信していきますので、
引続きよろしくお願い申し上げます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。