交際費課税:寄付金との実務上の区分
※2020年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎週金曜の本メルマガでは交際費課税について
解説してきましたが、今回と次回において
「交際費と寄付金の区分」を取り上げて
最終とさせていただきます(年明けからは
個人の確定申告を題材にする予定です)。
さて、税務調査で調査官から
「対価性がないから交際費」と指摘されたが、
「対価性がないのであれば、むしろ
寄付金なのでは?」と思ったことがある方も
多いはずです(この場合、交際費の有利な場合が
多いのであえて寄付金とは反論しませんが)。
国税庁の質疑応答事例には、この区分として
下記があります。
この質疑応答では区分が全くわかりません
(実務上の区分ができない)ので、
まずここに解説を加えます。
実務上はよく、交際費は「贈答」であり、
寄付金は「贈与」であると言われます。
「贈答」 とは、何らかの見返りを期待して
金品等を贈ることをいいます。
お歳暮・お中元などが典型例で、
「以後も引続き取引をお願いします」
という意味合いが含まれています。
交際費の行為における定義が、
「接待、供応、慰安、贈答(など)」である
ことからも明らかでしょう。
一方で「贈与」とは、一方的に金品等を与え、
見返りがない・求めていないものを指します。
公共団体・寺社などに対する、まさしく
寄付がこれに該当します。
このように、交際費と寄付金の区分は、
「対価性がない」という観点から考えれば、
●交際費:見返りを期待・求めた行為
●寄付金:見返りを求めていない行為
と考えることができます。
対価性がないことを前提にしますが、
取引先等に対する値引きであっても、
「取引の謝礼的要素が強い=交際費」
となり、一方で、
「合理的な(値引き)理由がない=寄付金」
(実質的な債務免除と同じ)
と考えるわけです。
原則的な考え方はよくわかるが、実務上の
区分・判断、さらには調査での対応は
難しいという方も多いでしょうから、
来週の本メルマガでは頻出ケースとして、
「外注先への業務委託料が高い」
(対価として高額)である場合の
交際費と寄付金の区分について解説します。
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