交際費課税:情報提供料の考え方(総論・前半)
※2020年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
金曜の本メルマガでは交際費課税について
シリーズで解説していますが、今回から
情報提供料や支払手数料が交際費になる
区分について解説していきます。
なお、ここにいう情報提供料とは、
仕事の紹介・斡旋などにより対価を支払う
ことを広く含み、一般的にはリベートや
キックバックと呼ばれる対価も含みます。
情報提供料が交際費になるかどうかは、
措置法通達61の4(1)-8において
規定されていますが、この通達をきちんと
解釈する機会も少ないと思いますので、
今回は「総論」として解説します。
なお、通達はカッコ書きを省略します。
措置法通達61の4(1)-8
法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、
代理、あっせん等の役務の提供を行うことを
業としていない者に対して情報提供等の対価
として金品を交付した場合であっても、
その金品の交付につき例えば次の要件の全てを
満たしている等その金品の交付が正当な対価の
支払であると認められるときは、その交付に
要した費用は交際費等に該当しない。
(1)その金品の交付があらかじめ締結された
契約に基づくものであること。
(2)提供を受ける役務の内容が当該契約において
具体的に明らかにされており、かつ、これに
基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3)その交付した金品の価額がその提供を受けた
役務の内容に照らし相当と認められること。
この通達を整理して解釈すると以下になります。
●情報提供を事業としている者に対する
情報提供料は交際費ではない
●上記以外の者(非専業者)に対する情報提供料
であっても3要件全てを満たせば交際費ではない
まず実務・現実的に考えると、要件(3)が
問題になることはないはずです。なぜなら、
紹介・斡旋を受けて、自社が損をするような
対価を支払うことはまずあり得ないからです。
一般的には、1件あたり○○円や、売上額の
××%などの基準で支払うのでしょうが、
情報提供料を支払っても利益が出る
ということが前提になっています。
税務判断もしくは税務調査で論点になるのは、
そのほとんどが(1)で【事前の契約がある】
かどうかが判断のポイントになります。
ここでは「契約」であって「契約書」では
ありませんから、事前に約した額や率で
合意されていれば交際費にはなりません。
契約書がない場合は、合意内容のメールや、
商談の議事録がエビデンスになります。
一方で契約書があっても、その日付が
役務提供後・成約後・支払後などの場合は
「事前の契約がない」と認定されやすいので
注意が必要になります。
また、契約書の有無にかかわらず、
税務調査で問題になりやすい論点として、
同内容・同額の情報提供にもかかわらず、
支払金額が相違しているケースです。
例えば、前回は30,000円支払っているのに、
今回は同額の取引で50,000円支払っている
ような場合、事前の契約に基づかないとして
交際費に認定されるリスクが高いでしょう。
あくまでも事前の契約・取り決めがある、
といえるためには、その取り決め通りに
情報提供料を支払っていることです。
次回の金曜メルマガでは、今回から
引続き情報提供料の総論を解説します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。