交際費課税:接待後のタクシー代は交際費か?(後編)
※2020年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週金曜のメルマガから引続き「接待後の
タクシー代が交際費になるか」について
取り上げますが、今回は有名な判決です。
接待後のタクシー代が「全て」交際費と
「誤認」されるきっかけとなったであろう
判決が東京地裁昭和55年4月21日、
TAINSコードはZ113-4582です。
この裁判では複数の論点がありますが、
本メルマガに関連する論点としては、
「社内忘年会の後に社員が利用した
タクシー代は交通費ではないのか?」
「接待後に社員のみで2次会等を開催した
後のタクシー代は交際費になるのか?」
という2つが挙げられます。
まず前者ですが、本判決では交際費と
判断されていますが、社内忘年会はそもそも
事業関連者に対する「接待」ではなく、
「従業員の慰安のために要する費用
=交際費(もしくは福利厚生費)」
ですから、接待後のタクシー代が
交通費or交際費という論点とは
事業関連性という観点では相違します。
また後者の論点ですが、取引先を接待する
行為が終わった後に社内メンバーで2次会・
3次会へと流れた後にタクシーで帰宅した
ケースですが、本判決ではこのタクシー代を
交通費ではなく交際費と判断しました。
前回解説した通り、「接待終了までが
仕事だと考えれば、その後に電車で
帰宅しようがタクシーを利用しようが、
それは交通費にすぎません」ということで、
接待【終了後】社員だけで飲みに行った後の
タクシー代は慰労のための費用で
交際費と判断されたということです。
これについては前回も取り上げましたが
下記(の最後の方)も参考にしてください。
以上を全体的にまとめるとこうなります。
●接待「される」際のタクシー代は交通費
●接待「した」後のタクシー代も交通費
⇒
ただし、接待終了後に社員だけで
飲みに行った後のタクシー代や、
また社内飲み(忘年会など)の後の
タクシー代は「交際費」。
この論点は、上記判決を理解せずに
表面的に解釈した「接待後のタクシー代
=交際費」が一般化しているもので、
誤った理解と言わざるを得ません。
交際費の課税要件および上記判決を
正しく理解していただければと思います。
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