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2021.11.30

交際費課税:福利厚生費との区分(金額の妥当性)

※2020年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週金曜の本メルマガでは、社内行事は
全従業員が一堂に会する必要はなく、
部署別などの単位で、内容・金額が同一程度
であれば、交際費ではなく福利厚生費として
処理することができると解説しました。

ただし、社内行事を福利厚生費とするには、
「通常要する費用=金額が多額ではない」
ことが要件として求められます。

税務において「通常要する費用」の基準は
明示されておらず、判断に困る論点です。

重要な判断基準の1つとして、
下記の国税庁タックスアンサーがあります。

「No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行」

ここから、(使用者負担を控除した)
会社負担額が従業員1人あたり
【15万円以内】であれば
福利厚生費としていいと解釈できます。

これを単純に受け止めると、
「社内行事であれば(忘年会などでも)
従業員1人当たり15万円以内は
福利厚生費にできる」と思われがちです。

上記タックスアンサーの中でも、
「その旅行の条件を総合的に勘案して
判定する」とされており、事例2では
4泊5日の旅行では15万円/人が
認められているにすぎず、たとえば
日帰りの社内行事では判断が
異なってくると考えるべきでしょう。

交際費関連の書籍を読むと、
「慰安旅行に代えて行った社内行事は、
慰安旅行とほぼ同程度の金額負担であれば
福利厚生費となる」としているものも
ありますが、単純な比較は難しいです。

実際に、福岡地裁平成29年4月25日
では、全従業員参加の「感謝の集い」(宴会)
について1人あたり【2.2~2.8万円】
が福利厚生費かどうか争われました
(税務調査で否認されたということです)。

「全社員の会合は交際費か福利厚生費か?」

結果として、納税者勝訴で確定した
裁判ですが、最終的な判断基準は

「宴会と日帰り旅行を比較することは合理的」

としたものであって、4泊5日の
旅行代金と比較したものではありません。

上記のタックスアンサーおよび本判決
から判断するに、宴会・日帰り旅行であれば
【3万円/人】程度が福利厚生費として
認められる基準でしょうか
(15万円÷5日=3万円)。

福利厚生費とする税務判断の金額基準は
あくまでも目的・規模・行程などの
総合勘案となりますので注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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