住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度における盲点1
※2024年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度における盲点1」です。
まずは、前回と同様、
令和6年度税制改正大綱P.50をご覧ください。
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/207233_1.pdf
P.50上段部分(2)に以下の記載があります。
―――
特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の
相続時精算課税制度の特例の適用期限を3年延長する。
―――
前回、お伝えしました、
住宅取得等資金贈与の3年延長に
連動したものになります。
本規定は、租税特別措置法70条の3
「特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例」
を指します。
内容としては、以下のとおりです。
―――
平成15年1月1日から
令和5年12月31日までの間に
住宅の取得又は増改築に充てる
ための資金を贈与により取得した
場合には,その年の1月1日に
おいて60歳未満の親から
その資金の贈与を受けた場合
についても相続時精算課税制度
を選択できます。
―――
つまり・・・
住宅取得等資金の贈与を受ける場合には、
贈与者が60歳に達していなくても
相続時精算課税制度を適用できることを意味します。
本規定が3年間延長されることになります。
今後、子世代に対する
相続時精算課税制度の適用が
進むと考えられますので、
本特例を適用して
住宅取得等資金贈与(1,000万円)
相続時精算課税制度(2,500万円+110万円)
を適用する事案が増加する
可能性は否めません。
本特例(措法70の3)は
平成15年度改正による
相続時精算課税制度と併せて
創設されました。
それが、以下URL
平成15年度税制改正資料P.5
4 住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の創設
になります。
ここに気になる記載があります。
―――
これらの資金の贈与については 2,500 万円の
非課税枠(特別控除)に 1,000 万円を上 乗せし、
非課税枠(特別控除)を 3,500 万円とする。
―――
これだけを読むと・・・
現行の住宅取得等資金贈与(措法70の2)の
1,000万円と勘違いしてしまいそうです。
しかしながら・・・
これまで直前数回のメルマガでも取り上げた
住宅取得等資金贈与は平成21年度に創設された
ものとなりますので、完全に別物になります。
実は、この規定、平成22年度税制改正
により廃止されたものになります。
詳細は・・・
平成22年度税制改正の改正(P.449、P.450)
「2改正の内容(2)」をご確認ください。
・平成15年度税制改正により創設
租税特別措置法70条の3の2
(住宅取得等資金の贈与を受けた場合の
相続時 精算課税に係る贈与税の特別控除の特例)
→ 上乗せ1,000万円の特別控除
平成22年度税制改正により、適用期限である
平成21年12月31日で延長されずに廃止となりました。
今回はここまでで留めて、
次回メルマガにて、
本特例(措法70の3の2)と相続時精算課税制度の
複雑な関係と盲点を確認します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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