修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点1
※2021年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
さて水曜の本メルマガでは年初から、
昨年質問・相談が多かった、修正申告に
【加算税が課される分岐点】を取り上げます。
論点は「更正の予知」です。
なお、この論点は意外に複雑で、かつ
実務上は色々な状況が考えられるので、
今回から数回にわたっての連載とします。
今回は「更正の予知」の前提となる
基本的な考え方について解説します。
まず、修正申告書を提出した場合、
全ての修正申告(増差税額)に対して
加算税が課されるわけではありません。
税務署の指摘などがなく、過去の申告などを
見直した結果として、自ら誤りに気付き、
自主的に修正申告をした場合、加算税は
課されません(延滞税は課されます)。
これは国税通則法第65条第5項に
規定する「更正の予知がない」からです。
つまり、原則的な考え方として、
税務署に誤りを指摘されたのでなく、
自ら誤りに気付いて修正申告を提出した
ものについては、罰則を科す必要はなく、
むしろ奨励しようとするものです。
では、税務署に誤りを指摘され、
結果として修正申告になった場合、
全てに加算税が課されるのかといえば、
実際にはそうはなりません。
個人の確定申告を3月に提出し、
4月になって税務署から電話連絡がある
ケースを経験されたことがあるでしょう。
これは、税務署でいう「事後処理」と
呼ばれるもので、税務署が申告内容を
(机上で)確認したところ、疑義があった
場合に電話等で確認、誤りがあれば
「修正申告の自発的な提出を要請する」
行為=【行政指導】に該当するため、
実際に税務署の指摘通りに誤りがあり、
修正申告を提出することになっても、
(行政指導であれば)加算税は
課されないことになります。
以上から、修正申告に対して加算税が
課されるかどうかの分岐点は大きく、
●調査があった修正申告=加算税あり
●調査がない修正申告=加算税なし
と理解できることになります。
実際に、加算税で更正の予知を定める
国税通則法第65条第5項にも、
「調査があつたことにより~」
とされていますので、この「調査」が
分岐点となることがわかります。
ただし、実務上はこの「調査」なる
ものの判別・区分が難しいケースが
非常に多いのです。
来週水曜の本メルマガでは、行政指導と
調査の区分について解説します。
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