修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点3
※2021年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週から引続き「調査」と「行政指導」の区分
について取り上げますが、この区分は
実務上かなり難しいケースが多いです。
つい先日ですが、このような事案がありました。
・税務署から「譲渡所得の申告について」
という書面が納税者に届く
・内容としては「〇〇の物件の持分1/2の譲渡
に係る申告の要否」として、共有不動産の
売却で妻が無申告になっていることを指摘
・日時指定された来署依頼が記載されていた
・書面が届いてから来署依頼の日時までに
期限後申告を行った
・この期限後申告に対して無申告加算税15%
が課されるのか(調査官は書面の送付で
調査が開始されていると主張している)
この事案の解説は、来週以降の本メルマガで
取り上げますが、このように臨場を伴わない
(電話や書面連絡による)「調査」という
考え方もあるわけです。
このように、事前通知~臨場という
一般的な調査以外の接触(電話や書面連絡)で、
税務署担当者が「これは行政指導ではなく
調査なので加算税を課します」と言ってきた
場合の現実的な対応方法を解説します。
まず、先週のメルマガでも取り上げた
下記のFAQをご覧ください。
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問2の末尾(なお書き)
「税務署の担当者は、納税者の方に調査又は
行政指導を行う際には、具体的な手続に
入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に
明示することとしています。」
これはFAQの規定内容ですが、同様の
規定が下記の事務運営指針にあります。
「調査手続の実施に当たっての基本的な
考え方等について(事務運営指針)」
第2章 1 調査と行政指導の区分の明示
「納税義務者等に対し調査又は行政指導に
当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等
の態様を問わず、いずれの事務として行うか
を明示した上で、それぞれの行為を
法令等に基づき適正に行う。」
このように、事務運営指針(国税職員が
守らなければならない命令・規則)でも、
連絡手段にかかわらず調査か行政指導
なのかの区分を(連絡した側の税務署が)
明示することになっているわけです。
これを裏返せば、電話・書面連絡などで
「調査だ」と明示されていないのに
調査として加算税を課されるような場合、
【明示されていないのは事務運営指針違反
であって、調査手続き違反だ】
と主張・反論することが可能ということです。
来週水曜の本メルマガでは、
上記実例のように来署依頼が調査に
該当するかを解説する前提知識として・・・
「調査」と「実地調査」の区分、そして
調査手続きの相違点に関して解説します。
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