修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点4
先週から引続き、修正申告に加算税が
課されるかどうかの分岐点を取り上げますが、
今回は「調査」と「実地の調査」の区分です。
普段はあまり意識しないかと思いますが、
調査手続きを定める国税通則法第74条の2以下
において、「調査」と「実地の調査」は
区分されたうえで手続きが規定されています。
例えば、事前通知を定める国税通則法第74条の9
において、【実地の調査の場合には】
事前通知を実施すると規定されていますが、
裏返して解釈すれば、実地調査でなければ
事前通知をしない(要しない)となります。
すでに解説してきたとおり、税務署からの連絡を
起因として修正申告を提出した場合、
●調査があった修正申告=加算税あり
●調査がない修正申告=加算税なし
となるわけですが、「調査があった=
事前通知があった(はず)」と考えると、
事前通知はされていない
⇒
調査ではない(=行政指導)
⇒
加算税が課されないはず
という主張が常に成り立ちそうなものですが、
この論理が成立するのはあくまでも
実地の調査の場合だけであって、
(実地ではない)調査では事前通知が
不要であることから、この主張論拠は
いつも成立するわけではないことがわかります。
つまり、電話・郵送連絡などでは
「事前通知がない(実地ではない)調査」が
あるので、このケースに該当する場合、提出した
修正申告に加算税が課されることになります。
具体的には、調査手続きを定めた法令解釈通達
では、下記のように規定されています。
4-4(「実地の調査」の意義)
法第74条の9及び法第74条の11に規定する
「実地の調査」とは、国税の調査のうち、当該職員が
納税義務者の支配・管理する場所(事業所等)
等に臨場して質問検査等を行うものをいう。
また下記のFAQでも、実地の調査以外の
調査について解説があります。
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問22 実地の調査以外の調査が行われる場合には、
調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等
についての説明は受けられないのですか。
(答)
税務当局では、実地の調査以外にも、税務署に
お越しいただいて申告内容を確認するなどの方法で
調査を行う場合があります。(以下、略)
全体をまとめると、
「調査」(質問検査権の行使)には2種類ある
⇒
(1)実地の調査(臨場をともなうもの)
(2)実地の調査以外の調査
(1)の場合:原則として事前通知が必要
(ただし無予告調査はある)
(2)の場合:法的には事前通知が不要
となります。
ここまで理解いただくと、行政指導と
「実地の調査以外の調査」の区分が難しく、
この領域で加算税に関して税務署とモメる
可能性が高いことがわかると思います。
来週水曜の本メルマガでは、この区分が
曖昧な領域について具体的なケースを挙げて
加算税の有無について解説していきます。