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2022.02.01

修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点5

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週から引続き、修正申告に加算税が
課されるかどうかの分岐点を取り上げますが、
今回は「来署依頼の文書」は調査に該当するのか、
について公開裁決事例も含めて解説します。

先々週(前々回)の本メルマガ冒頭でも取り上げましたが、
税務署から「来署依頼」の文書が届いた後に
修正申告書(もしくは期限後申告書)を提出した場合、
加算税が課されるのか、は非常に難しい論点です。

この文書の内容(指摘事項)にもよりますが、
特に資産税関連で、税務署が登記などで外形的に
無申告もしくは申告漏れを把握できるような場合、
通達にある下記に該当する可能性があるからです。

「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係
通達の制定について(法令解釈通達)」

1-1(「調査」の意義)
「「調査」とは、国税に関する法律の規定に基づき、
特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的
その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で
当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、
要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいう。」

これは、実地調査ではない調査(机上調査など)
がどこまでの範囲なのか、という論点になります。

このように「来署依頼の文書」で、かつ
無申告もしくは申告漏れが外形的に明らかなケースは、
公開裁決事例にもいくつかありますが、
そのほとんどで納税者が負けています。

●平成26年7月28日公開裁決事例
=土地贈与を登記原因とした贈与税の無申告

●平成24年3月7日公開裁決事例
=給与所得の一部申告漏れ

●平成8年9月30日公開裁決事例
=土地譲渡の申告漏れ

上記の裁決事例等をお読みいただくとわかりますが、
税務署職員と具体的な質問・回答などのやり取りを
対面でしていなくとも(机上調査であっても)、
質問検査権の行使(調査に該当)するという
認定がされていることは理解できます。

ただし、税務署への来署依頼の文書が全て
調査に該当する=その後の修正申告に加算税が課される
かどうかは判然とはしません(事実認定によります)。

考え得る論点は多数ありますが、たとえば

・文書に質問検査権の行使と明記されているのか?
(逆に、行政指導と明記されていれば
加算税が課されないことは明確)

・来署依頼文書の中に、どこまでの指摘事項が
記載されているのか?どこまで具体的なのか?

・来署依頼の文書を受け取ってから(関与税理士を含め)
税務署とのやり取りがあるのか、ないのか?

など、前提となる事実が異なれば
事実認定は全く違うものになるかもしれません。

さらには、上記裁決事例は、登記内容や
法定調書から外形的に無申告・漏れが
把握できる事例ですが、法人・個人事業主となれば
帳簿等を見なければ所得は把握できないので、
その(外形的な情報からでは詳細がわからない)場合の
来署依頼であれば、さすがに「調査とはいえない」
と適正に反論できるケースは多いでしょう。

このように、加算税が課される「調査」といっても、
実務上は曖昧な領域が大きいので注意が必要です。

来週の本メルマガでは、反面調査を受けた後に
修正申告を提出した場合を取り上げます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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