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2022.02.10

修正申告に加算税が課される・課されないの分岐点6

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週から引続き、修正申告に加算税が課されるか
どうかの分岐点を取り上げますが、今回は
「反面調査を起因として」修正申告を提出した場合に、
加算税が課されるかを解説しましょう。

まず、先日質問があった実例を取り上げます
(実際の内容を簡素化しています)。

●A社(顧問先)の取引先B社に調査が入っている

●B社の調査では、A社との取引に関して
調査官より疑義が指摘されており、このままでは
A社に反面調査が入ることになる

●A社はB社との取引の関係上、修正申告を提出
することを考えている

●A社が修正申告を提出する場合において、
反面調査の事前通知前であっても、反面調査の
実施後であっても加算税は変わらない
(課されない)のでしょうか?

これはかなり難しい論点です。結論から言えば、
加算税が課される・課されないの線引きを
明確に区分することはできないでしょう。

まず、反面調査を定義しておきますが、
反面調査は取引・金銭等のやり取りがあれば
実施できることから、銀行に対する口座確認も
広い意味では反面調査と解されます。

今回はあくまでも、被調査対象会社の取引先に
対する調査に限定しますが、これは取引先に対する
質問検査権の行使であることは間違いありません。
つまり、反面調査であってもA社に対する
(税務)調査という解釈になります。

論点として難しいのは、反面調査はあくまでも
B社の所得・税額が正しいかを確認することが
目的であることから、A社の全帳簿・取引等を
確認するわけではない、という部分でしょう。

この観点からすると、反面調査から(本来の)
税務調査に移行しない限り、その前に修正申告を
提出しても加算税は課されないと考えられます。

一方で、国税としてもA社に反面調査を実施し、
B社との取引内容・計上金額・計上時期などに
誤りがあった場合、A社に是正を求める
(修正申告を勧奨する)というのも
現実的にはあり得る話になるわけです。

こう考えれば、取引の一部に関する(反面)調査
であっても、調査が実施されたうえで修正申告を
提出した以上は、加算税が課されると考えても
何らおかしくはない、と解釈することもできます。

また、もう1つの論点としては、A社とB社が
同じ管轄の税務署かによっても相違してきます。

A社とB社の所轄税務署が相違する場合で、
A社の反面調査を実施するのがB社の所轄税務署
であれば、その所轄税務署にはA社に対する
更正などの権限がないとも考えられ、
A社が反面調査を受けても「更正の予知がない」
(このままいけば更正されるであろうことを
予知できる状況ではない)と判断できます。

いったん出せる結論としては、反面調査の
事前通知を受ける前に修正申告を提出すれば、
加算税が課されない可能性は高いでしょう。

なぜなら、A社は反面調査=質問検査権の行使
を受けていないからです。

しかし、A社が反面調査を受けた後で、B社
との取引に関して修正申告を提出した場合、
加算税が課される可能性は高いと考えます。

この辺りの法的理解の整理、さらに判例の
解釈などは下記に詳しく解説されています。

「加算税免除規定にいう「更正の予知」に関する一考察 」
48ページ~「(2) 他の納税者調査のための反面調査の実施」

次回は、同じ修正申告に対する加算税の論点として、
調査開始(臨場)後に修正申告を提出した場合を
解説することにします。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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