修正申告の事前提出を調査官にいつ伝えるか?
※2015年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
税務調査で機微な対応が必要なポイントとして、
「調査官にいつその事実を伝えるのか?」があります。
例えば、粉飾している顧問先に調査が入る場合。
粉飾している事実を税理士としてどう捉えるかは別としても、
税務調査に入ってもムダなわけですから、では、
いつ調査官に粉飾の事実を伝えるのか・・・
この点については、「いつ粉飾と伝えるべきか?」にて
書きましたので、それをお読みください。
さて、今日のブログは・・・
「修正申告の事前提出を調査官にいつ伝えるか?」です。
税務調査の事前通知があってから、調査初日までの間に
修正申告を提出した場合、その事実をいつ
調査官に伝えるべきなのかは、難しい判断でしょう。
これを解説する前に、前提を理解してもらう必要が
ありますので、なぜ調査初日までの間に
修正申告を提出するのかを説明したいと思います。
私は個人的に、税務調査の「事前対策」というのは
好きではないのですが、それでも絶対にやっておくべき
だと考えているのは、誤り、特に不正の確認・チェックです。
事前通知があった後であっても、調査初日(臨場)前に
修正申告を提出すれば、加算税は課されません
(延滞税は日数計算でかかります)。
もし顧問先が、会計事務所に内緒で脱税をやっていても、
調査までに修正申告を提出すれば、
重加算税は課されない、ということなのです。
だからこそ、重要な論点だけでもいいので、事前通知後、
調査初日までの間に確認をして、明確な誤りがある場合は
修正申告を事前に提出すべきなのです。
では、実際に調査初日までに修正申告を提出した場合、
その事実をいつ調査官に伝えるべきなのでしょうか?
①修正申告する旨を事前に伝える
②(調査前日までに)修正申告書を提出したことを伝える
③調査開始直後に伝える
④何も言わない
上記①②の対応を取ろうとする税理士が多いのですが、
それは止めておいた方がいいでしょう。
というのも、調査の事前に伝えると、調査官によっては
「事前通知後の行為なのだから取り下げるように」
などと、訳のわからないことを言われると面倒だからです。
実際に、私への相談の中で、修正申告の取下げを
執拗に要求してきた調査官がいました。
また、事前に言ったからといって、調査そのものが
なくなるわけではないでしょう。
すでに事前通知しているのですから・・・
こういう観点から考えると①②はありません。
ベストな対応は③です。
調査開始前に修正申告を提出した事実を調査官が
知らない場合でも、調査開始直後にいえば、
その部分はもう調査する必要がなくなるわけです。
調査開始直後に伝えれば、すでに調査が始まっている以上
取下げなど調査官の要求はないでしょうし、
調査も簡略化されて、期間が短くなる場合も多くあります。
調査初日までに修正申告した場合の
対応方法は間違えないでいただきたいものです。
なお、蛇足にありますが、上記の行動を考えると、
忙しいなど特段の事情がなくても、事前通知から
調査初日までの期間を長くとっておくことをオススメします。
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