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2024.08.23

修正申告の勧奨=行政指導であることを正しく理解する

※2023年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今回は、税務調査の法的手続きを理解するうえで必須となる、
調査(質問検査権の行使)と行政指導の区分について、
「修正申告の勧奨=行政指導」を概略的に解説したうえで、
来週水曜の本メルマガでは「行政指導の中止等の求め」について
掘り下げて解説していきます。

まず、税務署からの連絡・接触など一連の行為が、
調査なのか行政指導なのか実務上区分しなければならない理由は、
結果として修正申告の提出に至った場合に「加算税が課されるか」、
また税務署からの質問・要請等に対して「対応する義務があるか」
(任意か強制か)を判断する必要があるからです。

この論点に関する詳細については、下記の記事を
お読みいただけると理解できるでしょう。

「税務署からの連絡・接触を3つに分類する」

「税務調査と行政指導を区分して考える(5)」

概ねの理解としては、税務調査(実地の調査)に
関連しない範囲では、税務署からの

・お尋ねの発送
・電話等での申告内容の確認
・資料等の追加提出要請

などは行政指導であることを認識しておけばいいでしょう。

一方で、若干理解しがたいかもしれませんが、
税務調査(実地の調査)内においても行政指導に
分類される行為が存在します。この典型例は、
「質問応答記録書の提出(署名押印)」です。

主に重加算税の賦課において仮装・隠蔽の事実認定が
必要な場合に、調査官から署名押印を求められる
質問応答記録書ですが、国税通則法等に規定がなく、
あくまでも提出義務がない「行政文書」という取扱いです。
詳細は下記をご覧ください。

「質問応答記録書の内規が改訂されました」

また、国税通則法に明確な規定があり、かつ
税務調査(実地の調査)内において行政指導に
分類されるのが「修正申告の勧奨」となります。

「調査の終了の際の手続」を定めた国税通則法第74条の11
第2~3項において、実地の調査の結果、誤りがある場合は

更正(決定)する:調査結果の内容を説明する

修正申告(又は期限後申告)を勧奨することができる

とされています。簡単に言えば、「誤りがあった場合、原則として
税務署は更正しますが、納税者自身が誤り等を認めるので
あれば修正申告してもいいですよ」という規定内容です。

この「修正申告の勧奨」に対して、納税者が応じるか
どうかは任意ですから行政指導に分類されるわけです。
国税庁サイトにも下記の質疑応答があります。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問25
調査結果の内容説明を受けた後、調査担当者から修正申告を
行うよう勧奨されましたが、勧奨には応じなければいけませんか。また、
勧奨に応じないために不利な取扱いを受けることはないのでしょうか。
(答)
(略)この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも
納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に
応じていただけない場合には、調査結果に基づき更正等の処分を
行うこととなりますが、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、
修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを
受けることは基本的にはありません。(以下、略)

税務調査の最終段階における「修正申告の勧奨」が
行政指導に分類されることまでを理解いただいたうえで、
来週水曜の本メルマガでは、行政手続法を中心に、
その対応方法などを解説することにします。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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