修繕費か?資本的支出か?この分岐点となる考え方(その5)
※2017年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
日本中央税理士法人の見田村元宣です。
今回は「修繕費か?資本的支出か?この分岐点となる考え方(その5)」ですが、
新聞で報道された2つの事例を取り上げ、これに関する通達等を一通り
まとめてみたいと思います。
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毎日新聞(平成29年4月27日)
クボタ2.4億円 国税指摘
大手機械メーカー「クボタ」(大阪市浪速区)が大阪国税局の
税務調査を受け、2015年12月期までの1年9カ月で
約2億4000万円の所得隠しを指摘されたことが分かった。
経理ミスもあり申告漏れ総額は約10億3000万円で、
追徴税額は約4億2000万円。
同社は既に全額納付した。
クボタによると、同社は14年4月以降、茨城県内の工場でアスファルトの
舗装工事を実施。
費用について、同社は子会社に対し、複数回に分割した見積書を作成させ、
修繕費として処理した。
しかし、大阪国税局はこの道路などについて古い舗装を撤去し、
新しく敷設した固定資産と指摘。
「複数回にわたる補修と見せかけて所得を圧縮しようとしていた」とし、
所得隠しと判断した模様だ。
クボタ広報室は「税金逃れの意図はなかったが、当局の指示に従い
全額納付した」とコメントした。
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ちなみに、クボタは平成27年の報道でも子会社への奨励金巡り、
重加算税が課されていますね・・・。
話を修繕費の話に戻します。
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朝日新聞(平成29年4月28日)
東日本高速道路、5.1億円の申告漏れ 東京国税局指摘
東日本高速道路(東京)が東京国税局の税務調査を受け、
2016年3月期の1年間で約5億1千万円の申告漏れを
指摘されたことがわかった。
追徴税額は過少申告加算税や地方税などを含め約2億円。
同社はすでに納税しているという。
同社によると、高速道路の舗装や補修工事にかかった代金を
修繕費として経費で計上。
ただ国税局はその一部について、「道路の機能や耐用性が
上がっているため、経費ではなく資産で計上すべきだ」と指摘したという。
同社は「国税局から更正通知を受領した。税務調査の結果を踏まえ、
今後より一層、適正な税務処理に努める」としている。
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これらの事案の詳細は分かりませんが、部分的な修繕や災害等の場合は
別にして、既存の舗装を広範囲に渡って剥がし、新しい舗装を行なえば、
それは「残存簿価の除却+資本的支出」となることが大半でしょう。
ちなみに、除却部分の残存簿価は面積按分により合理的に計算すれば、
問題ないと考えます(参考裁決:平成26年4月21日)。
では、普段はあまり見ない部分も含め、情報をまとめていきます。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令
舗装道路及び舗装路面
コンクリート敷、ブロック敷、れんが敷又は石敷のもの 15年
アスファルト敷又は木れんが敷のもの 10年
ビチューマルス敷のもの3年
耐用年数の適用等に関する取扱通達(第3節 構築物)
(舗装道路)
2−3−10 別表第一の「構築物」に掲げる「舗装道路」とは、
道路の舗装部分をいうのであるが、法人が舗装のための路盤部分を含めて
償却している場合には、これを認める。
(舗装路面)
2−3−11 別表第一の「構築物」に掲げる「舗装路面」とは、
道路以外の地面の舗装の部分をいう。
したがって、工場の構内、作業広場、飛行場の滑走路(オーバーラン
及びショルダーを含む。)、誘導路、エプロン等の舗装部分が、
これに該当する。
この場合、2−3−10の取扱いは、「舗装路面」の償却についても準用する。
(ビチューマルス敷のもの)
2−3−12 別表第一の「構築物」に掲げる「舗装道路及び舗装路面」の
「ビチューマルス敷のもの」とは、道路又は地面を舗装する場合に
基礎工事を全く行わないで、砕石とアスファルト乳剤類とを材料として
これを地面に直接舗装したものをいう。
(砂利道)
2−3−13 表面に砂利、砕石等を敷設した砂利道又は砂利路面については、
別表第一の「構築物」の「舗装道路及び舗装路面」に掲げる「石敷のもの」
の耐用年数を適用する。
(高架道路)
2−3−14 別表第一の「構築物」に掲げる「高架道路」とは、
高架道路の高架構造物のく(躯)体をいい、道路の舗装部分については、
「舗装道路」の耐用年数を適用する。
いかがでしょうか?
今回は裁決等を通じて考え方を解説した回ではありませんが、
修繕費は税務調査でもよく問題になる項目ですので、
上記情報を整理し、是非、覚えておいて頂ければと思います。
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