個人の申告で精査すべき点
個人の申告は結構面倒なのに加えて・・・
期限がすべて同じですから煩雑でしょう。
私は以前から「誕生日月申告」を訴えています!
さて個人の場合、税務調査に入られる確率は低いとはいえ、
税理士のせいで否認されてはたまりませんから、
申告内容の精査で手を抜くわけにはいきません。
さて、個人(個人事業主だけではなく不動産関連なども)
に対する税務調査の場合、問題になるのは
「必要経費」が論点になることがほとんどです。
もちろん、個人といえど売上から見られるのですが、
法人ほど大規模でもなく、個人口座といっても
同じわけですから、否認しやすいのは必要経費です。
必要経費の概念は非常に抽象的で、
否認指摘さえすればある程度「削れる」というのが
調査官の常識ですから、狙われるのも当然でしょう。
しかも、法人の調査と違って個人に対する調査で
必要経費を見るポイントは違ってきます。
法人の場合は、経費(損金)を見るポイントは、
①個人的支出が混じっていないか
(入っていれば認定賞与として課税)
②損金の計上時期および資産性
の2点に集約することができます。
しかし個人の場合、ポイントは
①個人的支出が混じっていないか
(入っていれば家事費として否認)
②売上を得るための支出かどうか
の2点になります。②が相違しているわけです。
具体的には、このような場合に法人と個人で
否認指摘されるポイントが違うわけです。
「収益不動産物件を事業としています。
マンションの1室だけなのですが、
(役員or個人事業主の)親族に無償で貸しています。
本来収受すべき家賃は10万円/月です。
これに気づかず、処理としては何もしていません。
(売上計上もありません)」
このような事実が税務調査で見つかった場合、
処理の違いがあることを理解しているでしょうか。
法人の場合、営利事業を行っているのが前提ですから、
収受すべき金額を売上に計上するよう求められます。
売上の計上漏れですね。
しかし、同じケースで個人であればどうでしょうか。
答えは、無償で貸した分だけ、減価償却費や
固定資産税を按分して必要経費から否認です。
例えば、1棟8室のうち1室を無償で貸与している場合、
減価償却費や固定資産税など売上に紐づく必要経費を
すべて8分の1だけ否認されるというわけです。
つまり、売上を直接得るために必要な経費ではない
部分を必要経費から否認する(される)わけです。
ここでお伝えしたいのは「調査官の視点」です。
法人と個人でこれだけ着眼点が違うのです。
ですから、申告書を精査する段階では、
個人の場合、必要経費の精査からすべきなのです。
個人の場合、売上が漏れていても
重加算税になりにくいという事実もありますので。
上記に注意しながら乗り切ってください。
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2013年2月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。