個人間における生命保険契約の名義変更に関する課税関係2
※2023年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「個人間における生命保険契約
の名義変更に関する課税関係2」です。
前回のメルマガでは、
以下を解説しました。
◆保険契約
契約者:父(=保険料負担者)→長男
被保険者:父
保険金受取人:長男
上記の保険契約は父が70歳の時に契約した
「一時払終身保険」であり、
それを契約後長男へ名義変更したものです。
結論からお伝えすると
「贈与税の課税関係なし」となります。
今回は、前回では以下にも触れています。
(要約)
名義変更後、長男が保険契約者の地位を
取得しているため、解約(減額)することは
可能となり、解約返戻金相当額を取得した
場合、みなし贈与として扱われます。
「解約」「減額」等により支払を受ける金額に
ついては、みなし贈与の対象となることは
相続税法にて規定されています
(相法5(2)、相通5-6、相通3-39)。
この減額を使った生命保険活用法を検証します。
よく使われるのは、
保険料贈与プランが認知症になることで
機能しなくなることを回避するスキームです。
仮に、子が親から10年間100万円を
贈与され、当該資金を保険料に受湯する
プランだとします。
4年目の贈与時に親が認知症(重度)を
発症している場合、4年目からの贈与は
実行不可能となります。
そうなると、子は4年目からの保険料を
支払うことができなくなるため、
解約もしくは払済の選択を迫られます。
今回はこの認知症リスクにつき生命保険を
使って回避しようとするものです。
以下は、1,000万円の余剰資金がある
ことを前提します。
◆保険契約
契約者:父(=保険料負担者)
被保険者:父
保険金受取人:長男
父が85歳の時に契約した
「一時払終身保険」
一時払いした保険料は1,000万円
契約時:
父の意思能力には問題なし
名義変更時:
父の意思能力は問題なし
名変変更してから4年後に認知症となり
意思能力に問題が生じ法律行為は
できなくなった。
名義変更後の契約者は長男と
なっており、保険契約者としての
地位は長男にあります。
そのため、名義変更後に父が
認知症発症したとしても
契約者が長男である以上、
長男が解約や減額することは
可能となります。
話を簡単にするために、
どの時点でも解約返戻金率は
100%と仮定します。
ここで
毎年減額を解約返戻金100万円
ずつ行えば、父から長男への
「みなし贈与」がなされても
贈与税の基礎控除内であるため
贈与税課税なしで資金移転が
可能となります。
個人保険の名義変更時に
課税関係が生じないことを
使ったスキームは他にも
ありますので、活用方法を
ご検討ください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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