債務免除と所得調整
中小企業であれば会社のキャッシュがショートすれば
社長が会社に貸付をします。それが続くと…
会社には借入金が残り続けるわけです。
事業がうまくいっていない場合、繰越欠損金が発生しているでしょうから、
欠損金の繰越が消える段階で皆さんは処理したいわけです。
借入金を消して債務免除益に計上し、
繰越欠損金で相殺をかけたいわけです。
法人税法第59条に
「債務免除等があった場合の欠損金の損金算入」
が規定されており、これによりますと
会社の更生手続き等の開始決定がなされていることを条件に債務免除を
受けた金額や、役員借入の金額が損金算入できることになっています。
それでは会社更生法など、法的な手続きを経なければ
この適用は受けられないかというとそうではありません。
法人税施行令第117条より、(再生手続等に)「その他準ずる事実」があれば
損金算入することが可能なのです。
さて、この「その他準ずる事実」ですが、
実務上はかなり厳格に考えられています。
ただ会社が債務超過だからという理由で、
役員借入の債務免除益を損金算入はできません。
ここで非常に参考になる裁決事例があります。
http://www.kfs.go.jp/service/JP/77/20/index.html
この裁決事例から学べることはいろいろありますが、
①債務免除するなら役員借入など一部だけではダメ
(全債権者に債権者集会を実施するなど)
②債務超過という理由だけでは弱い
(会社が継続できない客観的理由が必要)
の2点は抑えておくべき点になります。
債務免除益をたてて繰越欠損金と相殺すれば
間違いなく税務調査に入られるでしょう。
その際には、上記ポイントを抑えて
いかに客観的理由を明示できるかが大事です。
※2010年12月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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