公開の非公開の差とは?
今回のブログは、
裁決事例には2パターンあるという話です。
私は時間があれば、公開裁決事例を見ています。
なぜかというと、「公開裁決事例には先例性がある」ので、
事例を勉強しておくことが税務調査の反論に効果的だからです。
実際に公開裁決事例集のトップページを見てください。
http://www.kfs.go.jp/service/index.html
ここには、「国税不服審判所では、納税者の正当な権利利益の救済を
図るとともに、税務行政の適正な運営の確保に資するとの観点から、
先例となるような裁決については、「裁決事例集(冊子)」
(平成21年分(No.78)まで)を作成し公表しています。」
とあり、公表裁決事例集はあくまでも、
裁決が出たものを公開しているのではなく、
「先例性がある」ものだけを公開していることがわかります。
ここまで書けばおわかりの通り、裁決にはもう1種類あって、
これが「非公開裁決」です。
裁決は下記から検索することが可能です。
http://www.kfs.go.jp/service/RS/index.html
※この検索システムは非常に秀逸で、検索スピードも速いですし
私が使っている限り、検索漏れ等もありません
実際に検索していただければおわかりいただけますが、
裁決を検索すると、公開と非公開裁決の両方が表示されます。
検索結果の「事例集登載頁」の欄が
「裁決事例集には登載しておりません」=非公開裁決
「裁決事例集№○○」=公開裁決 で判別できます。
きちんと整理しておくと、「公開裁決」とはあくまでも、
先例性のある裁決を公開しているもので、
非公開裁決とはそれ以外の裁決を指しています。
これは言葉の問題ですが、非公開裁決であっても、
情報公開法に基づく開示請求は可能です。
http://www.kfs.go.jp/other/disclosure.html
実際にこの開示請求に基づいてデータベース化している
のが、TAINSなどの検索サービスというわけです。
つまり、公開裁決と非公開裁決の違いは、
公開できるかできないかの差ではなく、
「先例性があるかどうかの差」だというわけです。
先例性があるということは、公開裁決事例集の冒頭に
あったとおり、納税者として知っておけば
今後の税務処理判断の指針になるということですから、
これを参考にしない手はありません。
税務調査で反論する際には、裁決全般で探すのではなく、
まず公開裁決から探すこと、公開裁決がなかった場合に
非公開裁決を使うことでより効果的な対応が可能になるのです。
また、調査官に公開裁決事例で反論した際には、
「公開裁決」であることの意味をきちんと説明すべきです。
なぜならほとんどの調査官は、裁決には2種類あり、
その違いがわかっていないのですから。
※2012年5月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。