内訳書にどこまで記載するか?
※2016年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
私がよく聞かれる質問に、
「内訳書にどこまで記載すればいいですか?」
「内訳書の金額基準(50万円以上など)を
守らずに提出すれば問題になりますか?」
というものがあります。
まず、原則的な考え方を教えます。
【税務署に出す情報は、多ければ多いほど
税務調査に入られる(選定される)確率は上がります】
これを逆に、「全部の情報を出すと真面目にやっている
と思ってくれて税務調査に入られにくい」と考えている
税理士が多いようですが、実際は違います。
考えてもみてください。
情報が多く記載されている申告書(内訳書等を含む)と、
記載があまりない申告書があった場合、
調査官はどちらを調査したいと考えるでしょうか?
もちろん、情報が多い申告書を選びます。
なぜなら、情報が多いだけで税務調査をやり易いからです。
情報が多いということは、それだけ
税務調査で見るべき「ヒントが多い」ということです。
また、もう1つの理由があります。
それは、相手方と数字が合わない可能性が高いからです。
こちらは正しい売掛金の残高を記載して提出したとします。
一方で、取引先が間違った買掛金の金額を
提出していたとすると、どちらかが間違っているわけですから、
税務署からすると、どちらかに税務調査に入る誘引になります。
この原則的な考え方は、「お尋ね」等の資料せんも同じで、
提出すればするほど税務調査の誘因になります。
税務署は情報が多く、数字などに齟齬がある
ところに対して税務調査を入るわけですから。
では、今まで詳細に内訳書を記載して提出していた場合、
次の申告から粗く記載することに変更すれば
税務調査に入られる可能性はどうなるでしょうか?
内訳書の内容は、税務署内でデータ入力されていないので、
項目数が減ったなど、システム的には影響ゼロです。
また、調査官が申告書を見た際に、
「内訳書の記載が粗くなった=けしからん!
税務調査で詳細まで把握しよう」などと、
調査官はイチイチ思いません。
あくまでも調査官は、内訳書などの情報が多いと
税務調査がやり易いと思っているのであって、
期ごとに並べて内訳書を比べるわけではないのです。
この考え方は、税理士と税務署がまったく逆として
捉えられていることが多いので、注意してください。
税務署側の立場に立って考えれば当然の帰結なのです。
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