• HOME
  •  › ブログ
  •  › 分掌変更を税務調査で否認されないためには?(まとめ)
2017.06.29

分掌変更を税務調査で否認されないためには?(まとめ)

※2017年4月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「分掌変更を税務調査で否認されないためには?(まとめ)」です。

結果として、分掌変更を否認されないためには

どのようなことに注意をすればいいのでしょうか?

私が分掌変更をセミナーで解説する場合にお伝えしている点は下記です。

〇分掌変更後は代表取締役の名刺は捨てる。

・税務調査時は不明ですが、審査請求がなされ、

 審判所の職員が事実確認のために、請求人を訪問した際に、

 問題となった取締役が「代表取締役 〇〇〇」という名刺を

 渡したことが裁決文に書いてあります(平成24年12月18日裁決)。

〇ホームページ、会社案内などに記載の組織図が分掌変更の実態と

 合っているかに注意。本人のコメントも載せないべき。

・更正時に「ホームページの会社組織図には取締役と社長との間に

 会長を位置付ける表記があったこと」が問題視されました(平成18年

 11月28日裁決)

・ホームページに「取締役会長」として「〇〇に、そして日本・世界へ

 いい〇〇を。」との記事を掲載していたことが問題視されました

(平成24年12月18日裁決)。

〇議事録、稟議書、報告書などへの氏名の記載、押印もしない。

・議事録には会長(取締役ではない)を出席取締役又は取締役会長とする

 表記があったことが問題となりました(平成18年11月28日裁決)。

・これは会計事務所の担当者のミスによるものです。

〇新社長就任の祝賀会の開催をした場合の式次第、取引先への

 代表取締役変更の通知、社内報の記事などの保存をしておく。

・社長就任祝賀会を開催したことは分掌変更の証拠の1つとなり、

 納税者に有利なものとなります(平成24年12月18日裁決)。

〇退任後の給与の額はおおむね50%以上減らすべきですが、

 他の従業員等の給与水準も考えて設定すべきです。

・従業員等と比べて、高額な給与が問題視されると、

 みなし役員とされたり、関与している業務が重要なので、

 相当額の給与が支払われていると判断されます(平成18年11月

 28日裁決、平成24年12月18日裁決)。

〇出社の頻度は週1~2回、不定時のようなイメージ。

・ただし、これはあくまでも形式的な話なので、実態が重要です。

・月3~4回の出社であるにも関わらず、分掌変更が否認された事例が

 平成24年12月18日裁決です。 

〇融資などに伴う銀行員との面談には出席しない。

・反面調査がされれば、銀行内部の日報、稟議書、報告書などから

 融資の現場にいたかどうかがの事実認定がされます。

・平成24年12月18日裁決では、これが問題視されました。

〇顧問税理士との面談には出席しない。

・結果として問題にはなりませんでしたが、平成24年12月18日裁決

 では、これについても触れられています。

〇取締役会、経営幹部会などへの出席はしない。

・平成18年11月28日裁決では、取締役ではない会長が

「幹部会、品質管理委員会へ出席の上、経営陣の1人として経営方針等を

 指示するあいさつを行っている」と原処分庁は主張しました。

・結果としては、会議そのものに重要性がなく、発言の内容もあいさつ程度

 だったので、請求人の主張が認められました。

・単なる傍観者だったとしても、出席しない方がいいでしょう。

〇金庫の鍵、小切手帳、手形帳の管理はしない。

・過去3回で取り上げた事例の中ではこれについて触れられた部分は

 ありませんが、これらに関しても関与すべきではないでしょう。
 

結果として、実態、事実関係として固めておくべきことは

「重要な業務」と「経営」には一切、積極的に関与しない、

ということです。

私見ではありますが、会長等としての籍はある訳ですから、相談されれば、

相談に乗る程度ならばOKと考えます。

分掌変更は法基通9-2-32にもあるとおり、

〇役員としての地位又は職務の内容が激変

〇実質的に退職したと同様の事情にある

ということが重要です。

つまり、「辞めてはいないが、辞めたことと同じ」ということです。

しかし、同族企業の社長(特に、創業者)が会長になり、

役員退職給与を支給された後であっても

〇口を出したい

〇毎日、出社したい

〇給料も相当額が欲しい

というケースも少なくありません。

もちろん、分掌変更の否認は税務調査官にとっても間接証拠を

積み上げることが必要であり、非常に面倒な作業であることは

間違いありません。

しかし、分掌変更が否認されたら、非常に多額の納税が課されることも

事実ですから、「分掌変更の実態」が伴うように、お客様にリスクも含め、

きちんと説明をしておく必要があるのです。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。