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2019.09.13

功績倍率3.0は本当に大丈夫なのか?

※2018年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「功績倍率3.0は本当に大丈夫なのか?」ですが、

平成19年11月15日の裁決をご紹介します。

この事例では功績倍率の是非が問題になった訳ですが、請求人は

〇 Fは創業以来の代表取締役である

〇 Hは創業者の妻であり、創業以来の取締役である

〇 裁判事例などでも功績倍率が3.3〜3.6倍というのは定着している

〇 Fの功績倍率は3.6、Hの功績倍率は3.3で妥当

と主張しました。

これに対して、原処分庁は下記と主張しました。

本件更正処分において採用した功績倍率は2.2であるが、

請求人と同業種同規模法人のうち、3社の代表取締役

及び2社の取締役に支給した退職給与の功績倍率を

検討した結果、功績倍率は1.6となる。     

更正時の功績倍率が2.2、審査請求の段階での主張が1.6という

非常に厳しいものです。

これに対して、国税不服審判所は下記と判断し、

適正な功績倍率は「1.9」と判断したのでした。

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本件比較法人のうち、a法人については、上記イの(ハ)のとおり、

資金繰りのために役員退職給与規程に定められた功績倍率より

大幅に低率の功績倍率に基づいて退職給与を算定したとの特殊な事情があり、

実際に支給された金額も他の3社に比べて大幅に低いものであることに

照らすと、本件比較法人からa法人を除外した3社を比較法人として、

功績倍率を算定するのが相当である。

そうすると、当該3社の平均功績倍率は、別表5−2「類似比較法人の

功績倍率(審判所認定分)」の当該3社のそれぞれの功績倍率

1.7、1.9及び2.0の平均値である1.9(小数点第2位四捨五入)

となる。
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いかがでしょうか?

「国税速報」(第6258号、平成25年4月1日)でも、

国税OB税理士である衛藤政憲先生が次のとおり書かれています。

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功績倍率3.0の“安全神話”

しかしながら、その後の審査請求事案や裁判事案において相当とされた

功績倍率には、3.0以下のものもあればそれ以上のものもあって、

この功績倍率3.0の“安全神話”は必ずしも維持されているとはいえず、

功績倍率3.0というだけでは税務調査において問題回避できるという

保証は以前にも増してないものと認識しておく必要があります。
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税理士の中には「3.0であれば、大丈夫だろう」という

「安全神話」がありますが、これは絶対的な数値でもなく、

また、否認された事例もあるので、お客様に説明する際は

十分に注意したいものとなるのです。


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