加算税が課されない!?
今回のテーマは、『 加算税が課されない!? 』です。
先月から今月にかけて似たような相談が
3件立て続けにありましたので紹介させていただきます。
【相談概要】
税務調査の予約が入ったので、事前の対策を立てるために
顧問先に訪問したところ、社長から
「先生、すみません。実は・・・売上を一部除外しています。
どうしたらいいでしょうか?」と言われてしまいました。
すでに税務調査の予約が入っているので
自ら修正申告を提出していいものかどうかわかりません。
どうすればいいですか?
このようなケースではどのように対応すべきでしょうか?
まず、税務調査の予約が入った段階であって、
実地調査の前なのであれば、自主的に修正申告書を
提出した場合は、過少申告加算税が課されません。
国税通則法第65条(過少申告加算税)
5 第1項の規定は、修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、
その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について
更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。
つまり、「更正を予知」したものでなければ、
過少申告加算税が課されないのです。
(だから自主修正申告は加算税がないのです)
では、税務調査の予約が入っている段階というのは本当に
「更正の予知」に当たらないかどうかが基準になりますが、
下記の事務運営指針には、「更正の予知」に当たらないことが明記されています。
「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shozei/010329-2/01.htm
(修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認める場合)
2通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その事業者に対する
臨場調査、その事 業者の取引先に対する反面調査又はその事業者の申告書の
内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該事業者が具体的な調査が
あったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の
当該修正申告書は、原則として、
同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。
(注)臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、
原則として、「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。
「更正の予知」に関しては、基準が明確にできないことも多く、
数多くの判決・裁決が出ていますが、下記URLの公開裁決事例が
非常に参考になりますので、ぜひ参考にしてください。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0602030000.html
ここで大事なことは、過少申告加算税が課されないということは、
重加算税も「絶対に」課されないということです。
なぜなら、重加算税は「過少申告加算税に代えて課されるもの」だからです。
国税通則法第68条(重加算税)
第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合
(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、
納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき
事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、
又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、
当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の
計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、
又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、
当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定める
ところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、
当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に
相当する重加算税を課する。
ですから売上除外等、税務調査で指摘されたら
確実に重加算税の項目であったとしても、
税務調査の前であれば重加算税は課されないのです。
この項目が明らかな・重大な不正だったとしても同じです。
税務調査の事前対策段階で、特に重加算税が課される
項目が発覚した場合、自主的に修正申告書を提出すべきです。
これだけで重加算税も課されませんし、
延滞税の除斥期間がなくなることもありません。
※2011年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。