加算税が課されないケース
今回のテーマは、『加算税が課されないケース』です。
本ブログとはちょっとズレますが・・・
「がん保険」の取扱いの変更に関して、本日(2012年2月29日)国税庁による「パブリックコメント」がアップされました。
「法人契約の『がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障
タイプ)』の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部
改正(案)等に対する意見公募手続の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410240007&Mode=0
ここにあるPDFを読めば内容を把握することができます。
「一般的に言われていた通りになる」ということでしょう。
節税目的の保険には、今後の対応に注意が必要になりますね。
さて、ブログの本題です。
当初申告に誤りがある場合、期限内であれば「訂正申告」
(法律的にはこのような申告は存在しません)となりますが、
期限後であれば「修正申告」または「更正の請求」となります。
当初申告より税額が増えるのであれば修正申告ですが、
修正申告は「自主修正」なら加算税が課されないことは
皆さん知っていますが、ではなぜ加算税が課されないのか、
もっと言えば加算税が賦課される要件をきちんと
理解している人はほとんどいないのが事実です。
加算税が賦課されない要件については、本メルマガの
「過少申告加算税が課されない?」
「過少申告加算税が課されない場合②」
で詳しく書いていますので、復習をオススメします。
このメルマガで知っていただきたいのは、まず
加算税に関する事務運営指針があること。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703/01.htm
※法人税以外もすべて加算税の事務運営指針はあります
そしてこの中で、
「臨場のための日時の連絡を行った段階で
修正申告書が提出された場合には、原則として
「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。
と明記されていることです。
つまり、税務調査の予約が入り、納税者と事前の打合せを
している段階で、納税者から「実は売上を抜いています」
と告白されても、税務調査前に修正申告書を提出すれば
過少申告加算税や重加算税は賦課されないというわけです。
国税通則法第65条第5項に定める
「更正があるべきことを予知してされたもの」かどうかは、
実務上かなり曖昧なラインであることは間違いありません。
例えばこのような裁決事例があります。
「請求人による修正申告書の提出は、自発的な決意を
有していたことが客観的に明らかであるから、更正が
あるべきことを予知してなされたものではないとした事例」
http://www.kfs.go.jp/service/JP/83/01/index.html
この事案では、辞めた従業員が、給与を水増しして支給し、
横領していたという事実を、「税務調査において」自ら調査官に告白し、
その通りに税務調査が進んだものです。
このようなケースで加算税が賦課されるのか争いになりましたが、
不服審判所は、納税者が「自発的に修正申告書を提出する決意を有しており、
その決意は事前説明において客観的に明らかになったものということができる」
として、加算税の要件を満たしていない=重加算税を賦課しない
という裁決を下しました。
ここまで進んだ状況でも、納税者側が調査官に「自白」すれば。
加算税が課されないという、非常に学びが多い裁決事例です。
確定申告明けは、申告内容の誤りに関する税務署からの
「問合せ」が多い時期ですが、修正申告になったとしても
本当は加算税が課されないケースが多い、ということは
今のうちからきちんと認識しておくべきです。
※2012年2月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。