2015.12.16

加算税だけで争える

先日セミナーをしていて受講者の税理士から驚かれたことがありました。

それは、税務調査の結果として修正申告を提出しても、
加算税については不服申立てで争うことができるということです。

実はこの内容については、2013年のセミナーではお伝えした
ことがあったので、多くの方が知ってるかと思いましたが、
調べてみるとブログではまだ書いたことがないようなので、
今回のブログで解説したいと思います。

まず、勘違いしている人が多いのは

修正申告の提出=不服申立てできない

と認識しているようですが、これは間違いです。正確には、

処分=不服申立てできる
(処分ではない=不服申立てできない)

なのです。この違いがわかっていないと、
不服申立てできる要件がわかったことにはなりません。

法令を確認しておきましょう。

国税通則法第75条(国税に関する処分についての不服申立て)
国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、
当該各号に掲げる不服申立てをすることができる。

このように、「処分」であれば不服申立てできるのです。

例えば、青色申告の取消しというのは処分ですから、
取消し処分を受ければ不服申立てすることができます。

話を戻すと、税務調査の結果として、修正申告を提出しても、
加算税(特に、重加算税)に納得できない場合は
加算税部分のみ不服申立てすることができます。これは、

修正申告の提出=本税の確定行為
⇔ 処分(税務署からの通知)=加算税の確定行為

という2つの行為に分かれるからです。

つまり、修正申告を提出することと、加算税の賦課処分を
受けることは、法律的に別の行為というわけです。

なお修正申告を提出するというのは、国税通則法第19条が根拠で、
主語が「納税申告書を提出した者は」となっており、
あくまでも納税者が勝手にする行為なのです。
だから、処分ではないため不服申立てすることができません。

つまり、「処分」かどうかを見分ける方法は、
条文の主語が「国税局」「税務署」などの課税庁に
なっているかどうかで判断することができるのです。

税務調査対策研究会の受講者から、話があった実例はこうです。

「昨年、税務調査の結果として、指摘事項に納得したので
修正申告を提出しました。ところが後日、
税務署から重加算税の通知が届いたのです。
重加算税については、調査の中で一切話が出ていなかったので
通知が届いて驚きましたが、修正申告なので
何もできないと思い、そのままにしておきました」

すでに解説した通り、この重加算税に関しては
不服申立てにより争うことができます。
(本税は争うことができません)

なお、不服申立てをする場合、処分を受けてから
「2ヶ月以内」にしなければなりませんので注意してください。

税務調査中には何も言わないで、重加算税を賦課してくる
調査官は実際にいます。修正申告の提出後に
重加算税を賦課されたら、あとは不服申立てで争う以外に
方法はありません。少なくとも争うことができるということは
最低限知っておかなければならないのです。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※2014年3月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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