印紙税の立会いに注意!
今回のテーマは『印紙税の立会いに注意!』です。
弊社のメーリングリストサービス「極選ノウハウ習得会」で下記の質問がありました。
(文面を若干変更しています)
『税務調査で印紙税の否認指摘を受け、
代表者に代わり対応しようとしましたら、
「印紙税は代理が出来ません」と言われました。
本当にそうなのですか?根拠は何なのでしょうか?』
この調査官が言っていることは正しいです。
根拠は税理士法になります。
税理士法第2条(税理士の業務)
税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、
法定外普通税(地方税法(昭和25年法律第226号)第13条の3第4項
に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、
法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
と定められており、印紙税が除かれているのです。
ですから、印紙税に関して税理士は
「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」
の「すべて」を行うことができません。
これを先週、全国4ヵ所の税務調査研究会の中で
お伝えしたところ、この事実を知っている
税理士がほぼいなかったことに加え、
現在トラブルになっている事務所までありました。
トラブルの内容は下記になります。
・法人の税務調査で(法人税に関して)モメている
・税理士は印紙税の立会いができないことを知らなかった
・印紙の指摘を受けて、税理士が自分から意見を言った
・調査官は「印紙税の立会いができない」旨を主張
・税理士は「普段から印紙の相談も受けているし、
立会いができないなんておかしい」と反論
・モメていることもあって、調査官はこの回答を
問題視して、国税局と税理士会に訴求
・この税理士は呼び出しを受けて事情聴取を受けている
・結果として、調査では不利な状況に陥ってしまった
あくまでもモメているのが前提でしょうが、
調査官に揚げ足を取られたということです。
実務上は、印紙税に関しても、調査官の方から
税理士に意見を求めてくるのみならず、
過怠税の申請書も税理士に送られてくるわけです。
これには2つの要因が考えられます。
①調査官が税理士法の事実を知らない
②事実は知っているがあえて立会い等を認めている
(法人と直接やり取りするより楽だから)
ですから、調査官の方から
「先生はこの印紙に関してどう思いますか?」
「先生の方で過怠税の申請を作成して提出してください」
と言われたのであれば、実質的に
印紙税の代理行為をしても問題にはならないでしょう。
しかし上記のトラブルのように、
調査官が何も言っていないにも関わらず、
税理士から印紙税の(代理)発言をするのは、
実際に税理士法違反であることから、
トラブルを招く恐れがあることを認識しておくべきです。
また、このようにトラブルにならないようにするには、
代理行為が問題になるわけですから、
例えば、「社長がこう言っています」など、
あえて伝書鳩のフリをするのが有効です。
この場合でも、あくまでも調査官から聞かれ、
その場で答えてしまうと、代理行為になりますので、
細心の注意を払うべきです。
印紙税でトラブルになっては
税理士として立つ瀬がありません。
ぜひ注意していただきたいと思います。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※『2013年10月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。』