厳しい上下関係の世界
今回は、『国税の年功序列制度』がテーマです。
最近では、年功序列のような制度は一般企業にあまり見られなくなりましたが
国税の世界では、年功序列の制度がまだまだ根強く残っています。
「一期違えば虫けら同然」などと言われていましたが
期がたったひとつ違うだけでも、先輩には絶対に逆らうことができません。
そんな国税の世界の出世の仕組みはどうなっているのか?
今回のメルマガで取り上げてみましょう。
まずは国税の組織についてお話しますと、頂点に大蔵省主税局があり、
国税庁→国税局→税務署というピラミッド型の命令系統になっています。
全国の管内にある税務署を管理しているのが国税局となるわけです。
職員の間では国税局のことを「本店」と呼んでいる者もいます。
国税局が「本店」なら、税務署は「支店業務」といったところなのでしょう。
どこかの刑事ドラマみたいですね。
この本店、つまり国税局で勤務することが一種のステータスとなっています。
税務署員の3分の2以上は一生、国税局には勤めることはなく、
各地の税務署を渡り歩くだけの地方回りの人生です。
それだけに国税局に入ることは、勲章のようなものなのです。
税務職員となるためには大きく分けて2つのルートがあります。
高卒程度の国家公務Ⅲ種試験、大卒程度の国税専門官試験です。
キャリア組と呼ばれる国家公務員Ⅰ種試験に合格した者は、
大蔵省や国税庁へ採用されることとなります。
この採用試験別、採用期別に、普通科第○○期、国税専門官第○○期ごとに
級を上げ、役職を就けるかの管理をしているのです。
完全に年功序列の給与、役職であり、抜擢人事はありません。
3年後までは全員一律に昇進することが約束されていますが、
その先はバラバラで徐々に差がつき始めます。
年をとってから初めて国税局に勤務することはありません。
40歳頃までに国税局に入ったことがなければ、一生行くことはないでしょう。
また、国税局で一度も働いたことのない人間は
税務署長にはまずなることはできません。
出世に一番影響が出てくるのは、当然、調査実績を上げることです。
これは成績を重視する一般企業でも同じです。
しかし、それ以外にも微妙に影響してくる要素もあります。
地方の国税局になると派閥が存在し、出身校などによって「○○会」
なるものが存在するところもあり、人事に強い発言権があるようです。
他にも、組合活動などが若干影響してくることもあります。
労働組合は、国税労組と全国税の2つが存在します。
税務職員は、上席調査官以下の9割方は組合に入っており
ほぼ国税労組に加入しています。全国税は全体の1割程度の人数です。
全国税の組合員は、勤務評定が良く優秀で仕事ができる者でも
最低評価のD評価しかもらえず、同期の中では昇進が一番遅くなります。
上席調査官までは昇進できますが、統括国税調査官にはなることはできません。
年配の組合員はずでに悟りきって、趣味を楽しみ悠々と過ごす人もいるほど。
一般企業とは違う、国税独特の出世システムが存在する世界なのです。
※2010年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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