反論パターン
今回のテーマは、『反論パターン』です。
税務調査で否認指摘を受け、こちらが納得できないので
モメるケースは、ほとんどがパターン分類することができます。
税務調査の争点は
(1)法令等(通達等の内規を含む)の解釈論
法令等の読み方・解釈の仕方によっては、調査官の否認指摘は
的外れではないかと考えるケース
(2)事実認定
「親族の役員に勤務実態がない」「接待の相手方が事業関連者で
ないから接待交際費を否認」など、事実がどうだったのかについて
調査官と見解の相違があるケース
の大きく2つに分けることができます
(1)のケースにおいて、調査官に反論する方法は
5つのパータンに分けることができます。
※実際に私が相談を受けて反論根拠にしているのは
この5つのパターンに集約できます
①有利な解釈をしている専門書を提示する
②法の立法主旨から解釈して反論する
③納税者に有利な判決等を探す
④社会通念上(常識・商習慣)で判断をする
⑤他の法令を転用する(借用概念)
④については、本ブログの「商習慣から反論する」
⑤については、本ブログの「借用概念とは?」
ですでに解説しましたので、今回は省略します。
①は、もっとも簡単な反論方法です。
法令解釈については、当然ながら調査官個人が
独断と偏見でできるものではありません。
(だからこそ「通達」が存在しているのですが、
通達も解釈論があるので難しいところです)
本はあくまでも著者の個人的見解だとしても、
法令等の解釈をしている専門書であれば、
調査官も「この著者が間違っている」とは言いにくいわけです。
②は、法令等の文章を表面的に読むのではなく、
立法主旨が何なのかを解釈して反論するケースです。
例えば、交際費課税の立法主旨は何でしょうか。
接待・供応・慰安・贈答などこれらに類する行為が
無制限に損金算入が認めれるのであれば、
法人がムダに支出を行うことが予想されるため、
その支出に制限をかけることが立法主旨です。
しかしながら、実務上はおかしなことに、
「特定の者に対する」支出であれば、広告宣伝費や販促費ではなく、
交際費だと否認指摘されることがあるのです。
どこまでが交際費でどこまでが交際費でないのかは、
まず立法主旨に鑑みて判断すべき問題だといえます。
なお、交際費については争いが多く、
公開されている裁決事例も数多くあります。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0204010000.html
③は、TAINSなどのデータベースで個別の判決を探すことです。
私が反論材料を作るときは、判決を探すのは一番最後です。
なぜなら、判決はあくまでも個別の裁判にかかる判断の結果ですから、
同じような事例を探すというのが非常に煩雑な仕事です。
また、自分は反論根拠になると思って判決を出しても、
調査官に「これは前提である事実が違うので参考になりません」
と言われると、それに対する反論は難しくなるからです。
※判決による反論が有効ではないという話ではありません。
あくまでも、反論する順序の話です。
今年1年、税務調査で戦うためには、
上記の反論パターンにあてはめるだけで、
反論は有効になりますので、ぜひ参考にしてください。
※2012年1月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。