取引相場のない株式評価に関する昨今の話題(1)
※2024年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
皆様もご存知のとおり、
取引相場のない株式評価は「財産評価基本通達」において
評価方法が定められています。
会社規模に応じて類似業種比準価額と
純資産価額を加重平均することになっています。
実務では概ね類似業種比準価額<純資産価額と
なることが多くその乖離はかなり大きくなる会社もあります。
そこで、類似業種比準価額を多く使える方が
株価対策としては有利になるという一定の結論を導くことができます。
これを使って、会社規模を大きくすることが
一般的な株価対策といえます。
ここで1つご紹介したい論文があります。
令和元年6月、国税庁HPで公表されている
税大論叢「今後の取引相場のない株式の評価のあり方」です。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/96/04/index.htm
要約すると、
(1)株式の評価方法の問題点、(2)株式の評価方法の見直し、
が記載されています。
以下、配当還元方式(特例的評価方式)については割愛します。
1.株式の評価の問題点
(1)類似業種比準方式
類似業種比準方式については、
上場会社の株価を基に評価する方式であることから、
小会社にも同方式を2分の1適用することを認めたことや、
上場会社との類似性が希薄であるとの理由によりしんしゃく率を
0.5まで引き下げたことについて、問題とする意見がある
また、同方式の場合、比準要素の数値を恣意的に
引き下げるようなスキームが容易であるというデメリットもある。
(2)純資産価額方式の問題
純資産価額方式については、方式自体を問題とする意見は見受けられない。
ただ、純資産価額計算上の法人税額等相当額控除については、
恣意的に作出することができる余地があるという問題のほか、
相当以前に行われた現物出資等の場合に「現物出資等受入れ差額」の
認定が困難であるなどの指摘もある。
2.株式の評価方法の見直し
(1) 原則的評価方式
類似業種比準方式に代え、残余利益方式を導入する。
また、純資産価額方式については、法人税額等相当額控除を廃止し、
代わりに一定のしんしゃくを乗ずることとする。
その上で、会社規模にかかわらず、
全ての規模の会社の株式について、原則として、
残余利益方式と純資産価額方式との2分の1併用方式とする。
結論としては、現在の小会社方式をベースにすべきとの
提言が最も大きな指摘となっています。
6年前の指摘になりますが、税大論叢で問題視されており
税制改正に繋がる可能性もゼロではないと考えていました。
これとは別に、会計検査院が今月11月に公表した
「令和5年度決算検査報告」における取引相場のない株式評価に指摘をしました。
こちらの内容は税制改正に繋がる可能性が残るかなり衝撃的な内容になります。
次回は、こちらを取り上げます。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
【執筆が木下先生の場合】
著者情報


