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2015.05.11

否認根拠が他社より高い!?

先日大阪でのセミナー後に開催された懇親会で、
ある税理士さんからこんな話を聞きました。

「個人開業医の税務調査を受けたのですが、調査官から
接待交際費が高額だとして否認指摘を受けました。
その根拠は、他の開業医の接待交際費より高額とのこと。
この開業医は最近税理士を変わった方なんですが、
実は前回の税務調査では、接待交際費が不相当に高額だと
言われたらしくて、なんと全額否認されていたんですよね」

笑えるような笑えないような話です。

私が税務署に配属されて初めての税務調査は、
統括官と一緒に造園業への調査でした。
小規模だったので1日だけの予約でした。
(教育のための税務調査という感じです)

造園業の場合、現金の売上計上漏れや期ズレが多いので、
統括官はそのあたりの否認項目を期待していたようですが、
何も否認指摘項目がありませんでした。

夕方になって統括官が経営者・税理士に言った言葉に
私は新人ながら驚愕しました。

「うーん・・・接待交際費が同業他社の平均より高いので
否認せざるを得ないのですが、半額にしてもらえますか?」

こんな否認指摘があり得るのか・・・
税法すら理解していなかった私でも、
意味不明な否認指摘だと感じて驚きましたが、この後、
さらに私は驚愕しました。税理士はこう答えたのです。

「・・・確かに高いかもしれないですね。
わかりました。半額にしましょう。」

調査の帰り道に、私は統括官に質問しました。
「造園業の接待交際費の平均っていくらなんですか?」
統括官は即答しました。「知ってるわけないだろ」

さて、こんな税務調査の実話から学ぶべきことは2つです。

①法令の根拠は何?

接待交際費が過大かどうかの判定など法令にはないのは明らかです。
接待交際費が否認されるとすると、
それは「事業関連性がない」場合だけです。

税務調査の現場では、法令など関係なく
ナアナアになることがよくありますが、
被害者はみなさんの関与先です。
否認指摘にはすべて法令の根拠を求めてください。

②同業他社の平均値を明示させる

接待交際費は論外としても、役員報酬などの過大判定は
法令上、同業他社との比較があり得ます。

税務調査において、「同業他社と比較して
役員報酬が過大なので否認します」と指摘されても、
上記の事案のように、タチが悪いことに同業者の数字など知らず、
調査官自身の経験値として言っていることも多いのが事実です。
(経験値すらなくて言っていることもあるのです)

このようなケースで確認すべきは2点です。

・同業他社の定義は何か?
 (売上基準?同地域?本当に同業種?)

・では平均の金額はいくらなのか?
 (いくらが妥当な金額なのか)

総じていうと、「否認指摘の根拠を明確にすること」
に尽きます。恐れずに調査官に質問し、
否認根拠を明確にすることが重要なのです。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年8月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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