嘆願書…提出しないと損をする!?
今回のテーマは、『嘆願とは?』です。
保険の『二重課税問題』が起こり、国税内部では保険会社との調整と、
それに伴う実務の準備に追われているようです。
おそらく職権による減額更正の作業で、準備を含めて
かなりのリソースがとられることでしょう。
さて更正の請求は、【 法定申告期限から1年以内 】と定められている以上1年を超えて当初申告から還付請求をしようと思うと、
実務上は「嘆願書」の提出をしなければなりません。
※「嘆願書」「更正の嘆願」など様々呼ばれていますが、
正式名称はありませんので「嘆願書」で統一して書きます。
実務では当然のように行われている「嘆願書」の提出ですが、
この法的性質を理解している方は少ないように思います。
まず嘆願書の法的性質は2つの分けて考える必要があります。
①税務署の職権による減額更正
国税通則法で定められている5年以内であれば、
税務署は職権による減額更正を「できる」
のであって、しなければならないわけではありません。
②「嘆願書」とは?
嘆願書とは、請願法に基づく「請願」を書面にしたものです。
つまりあくまでも「要望」「お願い」であって、
受理した税務署を法的に拘束するものではありません。
以上のように理論から考えると、嘆願書を提出しても
税務署が減額更正を必ずしてくれるとは限りません。
そもそも税務署に減額更正の”義務”はないのです。
しかし実務上は若干取扱いが違います。
税務署としては上記のように法的性質を理解したうえで、
嘆願書を更正の請求とほぼ同じ扱いにしています。
つまり嘆願書はあくまでも「お願い」ではありますが、
職権での減額更正が「できる」ことがわかった以上、
処理しなければならないと考えているのです。
当然ながら更正の請求と同じように、嘆願書も税務署内での審査が
行われますが(つまり本当に税額が減額になるかどうか)、
これは担当者が違うだけで、扱いとしては更正の請求とほぼ同じだ
と考えて間違いありません。
嘆願書も、税額が減額になる正当な理由とその資料が
きちんと揃っていれば、当然に職権更正をしてもらえます。
なお嘆願書の様式などを問う税理士がいますが、法的様式がない以上、
どんな書面で出しても税務署内での処理は同じです。
還付が受けやすい書面などは特別ありません。
※2010年9月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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