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2019.03.28

国税のスタンスと市街地価格指数による取得費の計算

※2018年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「国税のスタンスと市街地価格指数による取得費の計算」ですが、

複数の裁決をご紹介します。

不動産の譲渡に伴って譲渡所得の計算をする場合、

購入当時の売買契約書が無く、実際の取得費が不明であることがあります。

この場合、概算取得費(5%)を使ってもいいのですが、

市街地価格指数による推定計算も実務上は認められています。

これに関する通達などはありませんが、

下記裁決があり、市街地価格指数による計算は

ご存知である方も多いでしょう。

http://www.kfs.go.jp/service/JP/60/19/index.html

当社でも普通に適用していますが、もめたケースは1度もありません。

ただし、市街地価格指数を使った計算であるにも関わらず、

税務調査でかなりもめたケースも中にはあります。

そこで、国税の市街地価格指数に対する「考え方」を

検証してみましょう。

国税速報第6400号(平成28年2月22日)を見てみましょう。

この中に下記の旨が記載されています。

〇取得費は実際の取得価額が原則。

〇売買書類等が無く、取得費がわからない場合でも、

 軽率に市街地価格指数による推計計算を行う前にやることがある。

〇閉鎖登記簿等で前所有者の情報を入手し、前所有者に照会をかけるなどの

 実際の取得費の把握に努めることが重要。

〇市街地価格指数による推定計算の妥当性は、十分な検討が必要。

別の国税OB税理士が講師の研修に出席した際も、

全く同じことを解説していました。

だから、「実際の取得費の解明に努めたこと」は

国税にとって「1つの」重要な要素なのかもしれません。

もちろん、努力という不確定概念によって、

適用の可否が分かれるのは合理的ではありませんし、

ここまでの照会をせずに、市街地価格指数による推定計算をし、

特に何の問題も発生していないケースが多いでしょう。

ただし、国税としては、こういう考え方があることも事実なので、

「1つの見解」として覚えておいてください。

なお、概算取得費で申告をしてしまった後、

市街地価格指数による更正の請求はできません。

非公開裁決ですが、平成26年3月4日のものがあります。

TAINSコードは「F0-1-589」です。

なぜ、更正の請求が認められないかというと、

概算取得費による計算は納税者不利ではあっても「合法」であり、

国税通則法23条に規定する「誤り」ではないからです。

ただし、実務上は更正の請求が認められているケースもあるようです。

ある税理士は「うちでは何件も出していますが、

更正の請求が『全部』認められてきました」と話していました。

具体的な件数は分かりませんが、こういうケースもあるので、

法律的にはNGでも、実際に認められてしまうことがあるのでしょう。

ここは単なる国税のミスですが、こういうこともあるのです。

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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