国税内の重要判決情報
国税内には様々な情報が流れているのですが、
情報公開法のおかげで、国税内の情報も
簡単に閲覧することが可能になったことは嬉しい限りです。
さて、私が参考にしている国税内の情報に
「調査担当者のための「重要判決情報」があります。
これは年1~2回の更新なので頻繁に見ることはありませんが、
たまに見るだけで今後の調査の方向性が読めてきます。
なお、この情報は、TAINSで閲覧可能です。
一般検索で「重要判決情報」と検索してください。
毎年の情報を見ることができます。
この情報は、国税庁課税部審理室が出している内部情報で、
冒頭にはこのように書かれています。
(平成24年6月に出されたものを引用しています)
はじめに
本「重要判決情報」は、平成22年1月から12月までに
言渡しのあった課税関係訴訟事件に係る判決のうち、
特に賦課部門において留意すべき内容を含むものを選択し、
情報として配付するものです。
判決には、「法解釈について裁判所が示した新たな判断」、
「裁判所がどのような事実認定によって課税要件が充足する
と判断しているのか」等、訴訟遂行面にとどまらず、
賦課処分に当たっても留意すべき重要なポイントが
数多く含まれています。調査担当者として、これらに
目を通しておくことは、調査や指導を行うに当たっても
大変有意義なことであります。本情報は、日頃、多忙等で
判決文そのものを目にすることの少ない賦課部門の
皆さんにも限られた時間で内容が理解できるよう、
特にポイントとなる部分を抽出しております。
なお、判決に対し控訴又は上告等がされている場合には、
上級審において異なる判断が示される場合もあることから、
その判決で示された判断は確定したものではないことにご留意願います。
本情報においては、確定した判決については「確定」と表示し、
控訴又は上告等されている場合には「納税者控訴」又は
「納税者上告」等と表示しております。
また、平成17年8月に導入された「判例等データベース」や
平成19年6月に運用開始された「税務情報データベース検索システム」
により、各自のパソコンで過去の判例等の検索が可能となっております
ので、機会をとらえてぜひ目を通していただきたいと思います。
内容的には、1回の開示で10に満たない判決だけが
抜粋・解説されているのですが、この数から考えても
この情報がいかに税務調査の方向性に
影響を与えているのかがわかります。
たとえば、平成19年3月号では
8つの判決のうちの1つに
「役員の分掌変更により支給した金員が退職給与に
該当するかどうかの判断」が挙げられており、
以後分掌変更の退職金が狙われるようになりました。
最新の情報は平成24年6月号ですが、
7つのうち3つが重加算税に関する判決であることから、
今後重加算税の賦課に関しては
かなり慎重になってくるものと考えています。
(これは理由の附記も原因ですが)
なお「調査担当者のための「重要判決情報」」は
各調査官が目を通しているとは到底思えないのですが、
署長・副署長あたりは絶対に見ています。
これはもちろん、税務調査で決裁が必要になった場合の
判断基準を持つという意味合いもありますが、
このような資料に目を通すということは、
特に国税側が勝訴した事案内容に関して、今後の
調査で狙い撃つよう指示を出す要因になっています。
つまり、調査の選定基準にも
影響しているのがこの情報なのです。
税理士として判決や裁決を網羅するのは
事実上無理なわけですが、
「調査担当者のための「重要判決情報」」に
載っている判決だけでも目を通しておくことが重要です。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
2013年3月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。